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経済の現況を知り先を読む各種指標

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公開日付:2014.02.08

(1)気象予測情報なくして、安心・安全運行なし

一年の計を立てる年初に当たり、本稿ではそのために必要な諸指標と、それが何を意味し、どう活用できるかについて述べておこう。
政治運営や経済活動の目的は、国家の安全と産業経済の健全な発展を通じて国民生活の安心と幸福を具現化することにあるが、それにはそれぞれの現況を正しく認識し、先行きの動向を的確に予見し、正しい判断をすることで、最適な対応施策を考案し、それを全国民が納得し、それぞれの担当分野で、迷わずに協力しあって実行することにかかる。
こういった賢明な理念や希望と意識、より良くしようという強い信念と実践の努力があれば、政治も経済も、事業経営や個人生活も、今はどうあれ、意志あるところに方法ありといわれるように、必ず良い成果を得ることが出来る。
資料や実感などの事実に基づく現状の正しい認識がなく、先が読めないほど人間にとって不安なことはなく、自信を持って正しい判断や行動のあり方の意思決定をすることは不可能であり、また実行に取り掛かろうという気にもなれない。

(2)情報を制するものが世の中を支配し、情報量と業績は比例する

このように情報や資料・数値データは、人間の行動の基礎をなすものであり、国家運営や経済活動、事業運営、家庭生活など、人間生活の活力源であり、栄養素である。したがってこういう情報や周囲の状況を感知するための器官や機能は、人間のみならず、全ての動植物や微生物までの万物が具備する本能的なもので、故にこの機能が鈍かったとされる古代の巨大な恐竜や原始動物などは、環境の変化への機敏な適応が出来ず進化が遅れ、この世から自然淘汰され絶滅を余儀なくされた。
とりわけ人間は、これら動植物の中でも特別に優れた頭脳発達を示し、二つの目と耳、二本の手と足、一つの口を駆使した視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚といった五官に優れ、数値や情報処理機器を生み出し、この活用を重視するようになり、情報やデータの収集量の豊富さや処理・活用能力の巧拙次第で、「情報を制するものが、世の中を支配」し、「情報量の多寡と業績は比例する」といった実績結果を導き出し、「始計第一」、つまりあらゆる人間の行為の基礎は情報であり、それに基づく計画的な行動の良否に、その成果が決定付けられると悟ったのである。
近年は科学的な経済運営や経営活動が、その合理性や効率の面からも大切だと強調されるが、「科学」とは、「あらゆる事実に基づく学問」であり、その基礎をなす事実現象を認識し立証するものが「経済指標、経営指標」といった統計諸数値であり、いうならば安全運行のための計器が示すデータといえる。

(3)数値的情報を処理・活用するに当たり心得ておくべきこと

これらの各種統計資料の数値的情報を正しく処理し活用するに当たって、先ず理解し、心得ておくべきことは、

  1. 人間の心の状態、美しい汚い、好き嫌い、景況感などといった感覚的で抽象的な要素は、具体的に目に見える形や定量的に数値で捉え、表現することが出来ないので、数値的データとして処理・活用し得ない。
    そこでこれらは、何らかの評価尺度を決めて数値化し、数量的データとして間接的に流用処理、活用する必要がある。
    たとえば夫婦の親密度であれば、二人揃って買い物や旅行に出かける回数とか離婚率といった要素に置き換え、それを数値的に捉えて評価、判断材料とすることが必要である。
  2. 数値はあくまでも冷静・冷徹で、人間の感情や意図が入り込まない中立的で厳正な事実であるとされるが、その入り口(調査方法やアンケートの設計と質問方法、正確な算出や入力など)の段階と、出口(結果数値の読み取り方や、分析、評価、判断、資料にまとめる場合の表現の仕方など)の段階では、担当する人間の意図や感情が入り込む余地があることを知り、それに自らの実地観察調査も加味して確認し、正しく調整・評価・判断することも大切である。
  3. いかに直近の最新データとはいえ、その資料を入手し目にする段階では、調査期間、その調査の集計・分析・処理作業、資料としてとりまとめて印刷、配布するなどの期間を最低でも1ヶ月から半年程は要するので、もう既に過去の時点での事実となっていると理解し、そのズレを調整評価する必要があること。
  4. ある一時点での静止的データだけでは、視野が狭く、今後の動向も読めないので、多角的で有効な評価・活用のためには、最低でも過去3期分以上の長期的、連続・継続的、定期的で、基準や調査方法が不変の時系列データによる資料が必要とされ、それにより過去の推移傾向の延長線で未来が予測できるようになる。
  5. 個人的な感情や思惑、偏った先入観や固定概念を抑止し、あくまでも冷静なデータの読み取りと評価判断が要求されること。
  6. その資料の調査目的、調査主体者、調査対象やサンプル数、調査手法などをよく理解し、正しい判断の材料に供すること。
  7. 単一の資料だけでなく、人口を面積で割ると人口密度が、それに更に所得水準値を加味すると、庶民の住宅密集地か高級住宅地かといった地域の性格が読めるといったように、複数以上のデータの組み合わせや情報の加工をすると、1を知り3~5を学び、深い情報分析や、より正しい判断が可能になる。
    こういった「風が吹けば桶屋が儲かる」というような、類推的で連想ゲームのようなところが経済予測の面白さ、興味深さ、奥深さといえようか。
    また各種指標の特徴や、分析・執筆担当者の癖を理解し、それを割り引いて修正・評価することも忘れてはならない。概して、為政当事者には自画自賛、官庁エコノミストは自己弁護、保身的、責任回避的、銀行系のエコノミストは保守的で体制迎合志向が強く、証券系は上げ下げ相場共に常に強気で煽動的、学者は机上の理論で現場実際が乏しく、ノンポリで批判的、各業界系のサラリーマン・エコノミストは、自分が所属する業界に好ましいような都合主義の論調、マスコミ・タレント評論家は、視聴率重視の調子良い煽り型で、無責任だがお金儲けが上手といった傾向があり、案外、組織に所属しない一匹狼のフリーな評論家にこそ、権力やマスコミに迎合せず、名誉や金儲けに執着がなく、真理や正義、現場周りの体感に基づき、客観的・中立的に是非を率直に述べる評論家に、著名人にも富裕者にもなれないが、良識派で本物の実力者だと感じる者が多い。
  8. 専門的な用語の意味を理解すれば、興味が持てて、正しい分析・評価にも有益であること。
    頭の良い学者の執筆による権威ある辞書の定義は、その能力レベルで万民が理解し得るという思い込みなのだろうが、難しく理屈ぽくて、たとえば計画とは「未来に対する現在の決定」、経済とは「人間の共同生活の基礎をなす財やサービスの生産・分配・消費の行為や過程、並びにそれを通じて形成される人と人との社会関係の総体」などとされるから、結局、一体何のことかよく理解出来ず、それが経済学を苦手な学問と敬遠させたり、無関心になる原因ともなっているが、そういった点を改めること。
    「経済とは、モノ・カネ・サービスなどのやり取りと、その円滑な決済をつけることであり、おカネがたくさん集まるところが景気がよく、お金が吸い取られて乏しい側の経済は不振、このなものが欲しいなと思う欲望(需要)と、それに応えるモノやサービスの提供(供給)が均衡しておれば経済活動は円滑で  安定し、この調和が乱れると経済は混乱し、物価高やデフレと称される物価の長期的下落、深刻な不況となるので、その調整を適切に行い、最大多数者の最大幸福を道徳的にも正しい手法で実現することがその目的である」などといえば、なるほどそうかと理解できて関心が高まるであろう。
  9. 情報や資料はただ大量に収集することに目的と意義があるのではなく、国家や社会政策の決定、好ましい経済活動、健全な事業経営、安心できる家庭生活などの維持・発展に役立てることにあること。
  10. 立場上知り得た情報などについては、その公益性やプライバシーの尊重を深慮し、公明公開や機密保持、守秘義務などの判断をすること。
などが肝要である。
大学生に「お金は好きか?」と質問すると、「大好きで、必要不可欠だ」と応える。それでは「経済に興味があるか」と聞くと、「難しくて解らないから興味がない」、「専門家任せでよい」といった無関心さであるが、現在の世界は経済社会として構成され、貨幣経済で成り立ち、我々はその一員として好む好まずに関わらず、生産や消費、労働、家庭など、いずれかの場面に関わって生きているのだから、経済には無関心ではおれず、経済知識は社会人必須の常識というものではなかろうか。

(4)経済指標で何が解り、どう活用されるのか?

経済指標は、経済になじみ、その実態を知り、その環境下でどう働き、健全に生きるべきかの生活設計を立てるための指針や情報が満載された良い教科書である。
たった一枚の桜落ち葉から季節の変化を感じ取るといったことや、商売上手な大阪商人は、街を行く人々の歩行スピードの遅速で開店の好立地を決めるなどといわれるように、ちょっと意識さえすれば、世の中の目に見るもの、耳で聞くこと、手で触れるもの、嗅ぐ臭い、料理の味など、周囲の状況変化のすべて情報であり、それをどう活用するかの才覚次第で、役立つ有益な情報にも、死蔵される無益な情報にも、マイナスの情報にもなりかねない。
経済指標とは、それらの無数ともいえる多くの情報の中で、経済面での国家の現況を認知し、その実態を理解し、当面の経済進路設定や、具体的施策の決定、それによる景気調整手段の模索、これらの将来予見などを通じた現在と未来の国家や地域社会の発展、国民生活の安全・安心、国家の発展成長や国民生活の向上、国際関係の円滑化などに役立てることを目的とした、多くの要素に関する情報を数値的な事実で表現し、公明に周知しようとするものであり、所管する総務省統計局が、毎年定期的に白書や諸資料としてまとめ、公刊し、配布や発売をしている。
その分野や内容は、経済が地理的条件や天候、人口構成、金融、労働力、科学技術、軍事、歴史、国際関係など多様な要素に影響されるものであるから、当然、非常に多岐にわたるが、大別すると、国力や経済の外観的規模の大小を知る要素項目と、その内容や質を知る要素項目に、また分野別では、国土面積や気象(国土総面積、行政区画別面積、山林や住宅地などという性格や用途別面積、その利用状況、地理的環境、気候風土、平均気温など)から、人口、世帯数、国民経済計算、通貨・資金循環、国家財政、企業活動、農林水産業、鉱工業、建設業、エネルギーや水、情報通信・科学技術、運輸、商業・サービス業、金融・保険、貿易・国際収支・国際協力、労働・賃金、物価・地価、住宅・土地、家計、社会保障、保健・衛生、教育、文化、公務員・選挙、司法・警察、環境・災害・事故、国土防衛・軍事など1~26までの大分類、合計約500項目の小分類で調査され、その統計数値が公表されている。
この他にも各省庁が公表する白書は、海上保安白書や観光白書、公害紛争処理白書、中小企業白書など約25種類ある。
政府の経済関係指標の他にも、日本銀行や独立公益法人、マスコミ、民間シンクタンクなどが発表する定期、不定期の臨時的な資料などまで含めると、経済に関する情報やデータは数え切れないぐらい極めて豊富で多種多様である。
経済指標は、政府や官公庁の行政手段としただけでなく、民間のシンクタンクや各企業でも、家庭や個人でも、経済予測や解説、景気の良し悪しの判断、学術研究、民間事業経営の健全な維持や成長発展のための意思決定、経営戦略・販売政策の立案、雇用や賃金決定などの労務、業績向上に、家庭や個人としては、安心・安全な人生設計や生活態様の決定、蓄財計画や資産形成のための貯蓄や投資判断など、誰にでも実にさまざまな分野や目的で活用し得る貴重な資料である。

(5)経済指標を上手に実務的に使いこなす要点

1)国家経済発展に必要な要素

これは「7・5・3の要素」で、7要素とは、人間の気持ちの持ち方に関する「士気、鋭気、勇気、活気、根気、才気、天気」の基本的「7気」である。但しこれらの要素は定化が不可能なので、経済指標の項目としての表現はない。直接的な5要素とは、経済発展に必要な「モノ・カネ・ヒト・土地(市場)、制度」の5項目であり、これらは指標資料の随所に表示されている。3要素とは、「資源・エネルギー、労働、金融」のコスト関係の項目であり、儲けは安価で仕入れて、高価で売り、その差益(付加価値)を得るかに係るが、これらは企業財務が主体なので経済指標資料での直接的表現項目は少ないが、国家全体としての収支実態は「国民経済計算」でGDPとして表現されており、この前年比の伸び率が経済成長率である。

2)景気の実態を概観する経済指標

「経済」は国家全体の長期的なお金の動きで、季節的に快適な春季か厳しい冷え込みの冬季かといった気候のようなものであるのに対し、「景気」は、短期的なその部分を捉えた春季・冬季なりの晴れか曇りか雨かといった日々の気象状況といえる。
景気浮上に必要な要件は、3段ロケットの打ち出しといえ、第1のロケットは「輸出」、第2のロケットは「民間企業設備投資」、第3のロケットは「個人消費」であり、輸出立国の日本にとっては①の輸出が好調となれば、企業は強気で②新規生産設備投資に着手し、これが好調になれば生産増で企業業績が良くなり、下請企業にまで好影響が及び、賃上げや雇用の回復も望めるので、③の個人消費が燃え上がるので、この順序が大切である。しっかりとした足腰で立ち上がろうとせず、頭だけ持ち上げて立ち上がることは不可能なのが常識であろう。
それぞれの経済発展への影響力は①が12~14%、②が14~18%、③が55~60%という最大推力のエンジンであるが、目下はその総計が86%どまりで上昇力不足でロケットが失速しそうだから、④の補助エンジンを全開し(国債の大量発行、財政出勤)、軌道修正をしようとしている。しかしそれはあくまでもリスキーな賭け、劇薬投与の応急処置といえようから、アベノミクスの成否は、第3の矢である経済成長戦略の具現化による実体経済への点火次第に係るとご理解願えよう。
景気には短期(周期約4年、要因は在庫調整)、中期(周期約10年、要因は企業設備投資)、中長期(周期15年、要因は民間住宅投資)、長期(周期は40~60年、要因は経済を牽引する産業の主役交代、気象異変、農産物不作、軍事紛争など)、超長期(周期60~100年、要因は大きな技術革新、エネルギー革命など)という周期的な波動が見受けられる。

3)経済指標が示す景気の実態と動向

経済指標の資料には、景気の実態や動向を示すものとして、景気に先駆けて動き出す「先行指標…12項目」、同時的に連動する「一致指数…12項目」、後追いで裏付ける「遅行指数…10項目」など合計32項目に関するデータも表現されている。

4)国民経済計算は、国家の財務諸表

経済指標資料にある「国民経済計算」は、国家の財務諸表といえ、国家全体のお金の収支状況が解りやすく一覧に供されており、そこでは生産、分配、支出の三面が等しい数値となり、経済活動の決着がきちんとつけられていることが示されている。
以上のように、経済指標という計器のデータを見ながら、それに熟練した運転操作の技能、安全運転のための遵法意識が伴えば、国家や事業の安全運行は間違いなしといえよう。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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