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アベノミクスの成否に賭ける日本の未来

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公開日付:2014.01.24

(1)アベノミクスの正念場の年

新年を迎えて再登板就任後1年余を経た安倍内閣は、引き続き本年も、中国の威圧的な領有権主張と制海・空軍事力増強による世界のミリタリーバランスの崩壊、北朝鮮の軍事独裁政権化と暴走懸念、世界の生産工場国である中国・韓国経済が峠を越えて失速気味、地球規模の地域間貧富格差の増大、この結果の東西イデオロギーの対立から南北(イスラム教圏対キリスト・ユダヤ教圏)の哲学的理念の対立への移行、EU経済圏内の歪の顕著化、独占的超大国アメリカの政治・外交・軍事的権威と信頼の相対的低下、行過ぎた金融市場経済の弊害露呈、国際機軸通貨ドルの威信の揺らぎ、中東・西アジア地域の政情不安、21世紀の成長発展期待地域である東・アジア地域の不安定化と混迷などといった国際情勢の変化と、国内的にも、デフレの解消と長期不況からの脱出、本格的な景気回復と経済成長路線への転換、TPP協定参加の是非、国家財政の健全化と増税、貧富二極分化の調整、原子力発電存続の是非、これにとって替わる新エネルギーの開発促進、少子高齢化の加速化対策、東日本大地震被災の早期復興などといった種々の難題を抱え、まさに外憂・内患、多事・多難さが予想される。

(2)未知への挑戦という危険な賭けに打って出た安倍総理

こういった大きな世界的な時流の激動・変節という嵐の中で、その大波を乗り越えつつ、日本丸の補修を進め、今後の進路を選定しなければならないという、国家の将来の命運さえも左右しかねない難しく厳しい重大な局面、いうならば、暗い谷底の激流の分岐点に立たされ、果たしてその先に更なる嵐や危険な滝が待ち受けているのか、間違いなく穏やかな平地や流れが拓けているのかの見通しがきかず判断がつけ難い状況に直面して、安倍政権は昨年、大胆にも未知への挑戦ともいえ、危険性が多分に危惧されるアベノミクスという奇策の道、即ち危険や苦難は伴うが、これを分かち合って急峻な崖道をよじ登り、とにかく少しでも明るい見通しを得ようという道を選択し、強気で思い切った賭けに打って出た。
残された携行食糧(財政的余力、食料、資源・エネルギーの保有量など)も底をつきかけ、体力も低下してきたので、安倍首相としても、こういった点も十分に承知した上で政治生命を賭け、厳しくも苦難の道を選び、多少のリスクや副作用は覚悟の上で、劇薬投与の応急処置を講じるような大胆な賭けに打って出たもの、またこの種の難極の打開には、従来の固定概念を突き破った奇策が必要であり、当然、未知への挑戦には苦難も抵抗も反対もつきものだし、いつか、誰かが、損な憎まれ役や犠牲の捨て柱とならざるを得ない事を覚悟し、勇気を持って引き受けねばならないと、あえて火中の栗を拾う決意をしたこと、このような大胆な政策や大改革に着手する好機は、議会民主主義体制の下では、選挙で圧倒的多数の支持を得て勝利し、過半数以上の議決権を握った与党の強力な独裁的決断と指導力が発揮しえる時に限られるが、それは今をおいてはないとの判断からのものと善意に解釈しておこう。
このように危なっかしいアベノミクスではあるが、とにかくもう既に賽子が振り出された今となっては、引き返すわけにはいかないので、安倍首相の手腕と今後の活躍、アベノミクスを信じ、これを祈るような気持ちで支え、なんとしても成功させねばならない。
なぜなら、それに当面、誰がリーダーになっても、労多くして益少なく、成果を得がたい苦難の道であることに変わりはなく、これさえやれば必ず成功する方法も、参考例もなく、さりとて安倍総理にとって替わって、この難局を乗り切れると信頼できるような逸材の政治家も、経済的な施策も見出せていないし、そう短期間で再々政権交代を繰り返すことは、かえって内外の信用を失し、政治的不安、国家・経済社会の混乱を招くだけだからである。

(3)第3の矢の具現化に係る日本に未来

昨年に放たれたアベノミクスの第1、第2の矢は、これまでの病状の更なる悪化進行を食い止めるための、あくまでも苦肉の策の劇薬投与による応急対処処理でしかなく、本年にその具体策の内容が示される第3の矢にしても、日本再建に踏み出すスタート地点の足元慣らしという経済政策に止まるものである。
したがって第3の矢に続く、今後の第4の大砲の発射とでもいうべき、将来を展望した新日本構築への長期的経済成長発展の設計図の作成と戦略設定、それに結びつける本格的な根本治療が肝要であるが、これには取り敢えず基礎体力を回復させ、大手術(抜本的国家構造の大改革)に耐えられる環境や状況の整備が要求される。
先ず足場がしっかりと固まらないと良いスタートが切れず、軟弱な基盤のままでは堅牢な高層ビルの建設は不可能であるし、「明日の良い稲の収穫、先ず良い田づくりから」でもある。
本年はいよいよその第3の矢である「経済成長戦略」が展開される年ということになるが、今までのところ、その肝心な具体策の内容の明示がやや遅れ、明確でないことは残念だが、その経済成長戦略内容と具現化の実践に期待がかけられ、その成果の如何に、わが国の明日と未来が決定づけられるといえよう。
先述したように、かつないまでの膨大な赤字国債の発行による無制限の超金融量的緩和、市場への資金の供給で、景気の回復と経済再建を図ろうというアベノミクスは、過去にも体験したことのない試みであるが、万一、国の信用基盤が崩れ、大量発行した国債の引き受け手がなくなり、国家財政が破綻すると、諸外国からの借金をして国際的管理下に置かれるか、支払猶予(モラトリアム)の実施が余儀なくされ、償還不能、債務不履行で、紙屑ともなりかねない。
現行のシステムでは、大量発行した国債を一旦市中銀行に半強制的に割り当て購入させ、中央銀行である日銀にそれをそっくり買い取らせ(買いオペ)、その資金を市中銀行の当座勘定口座に改めて入金し、市中銀行はそれで得た豊富な資金を、一般企業の国内生産設備投資資金などに貸し出しをすることで景気浮揚を図ろうとする、やや回りくどいまやかしの政策であり、市中銀行の貸し出し先についての監督や、借り入れた企業の資金使途の追求にまでは踏み込める法制とはなっていないので、その資金が果たして真に実体経済の発展に寄与する前向きな目的に使用されているかどうかの追跡は甘く不詳であり、投資効果が期待できない国内投資より、有利な海外設備投資や金融投資、マネーゲームに流用されないとは限らず、実体経済の活性化に結びつかないことにもなりかねない。
それに市中銀行筋では、もう既に、これ以上の国債購入は差し控えたいとする傾向が出始めている。
そうなれば国の膨大な借金の回収は、一般国民への増税か、福祉サービスのカットなどによる歳出の削減、財政出動の縮小ということにならざるを得ないので、まさに矛盾だらけの一時凌ぎ、危険な綱渡り(タイロープ)のような国家の資金繰り政策といわざるを得ず、こういった非常事態の対策は早く正常な状態に戻さねばならないので、近い将来、その国民への付け回しや、反動の波といった副作用が襲いかかることは必至と覚悟すべきであろう。
幸いにして、一昨年末の安倍新首相誕生当初の強気で明るいアナウンスメント効果だけで、希望材料が乏しく低迷していた格式市場は早速に好感して活気づき、その後も、時期を一にしたアメリカ景気の回復基調にも支えられ、わが国の景気にも回復の兆しが出てきて、予想以上に株価の高騰が持続し、それに煽られて国民の意識にもやや明るさが戻り、昨年末には消費購買意欲も高まって、百貨店の売り上げも久々に好転し、高級品の売れ足好調、今春の消費税率アップを見込んだ駆け込み需要もあって不動産取引も活発化、土地価格の下げ止まりなどもあって、デフレの解消に拍車がかかり、物価もマイナス続きから多少とも上昇に転じ、企業業績も大企業から中堅企業層までは回復という好循環の成果が見られるようになった。
また、歴史的な潮流からも、21世紀には東・南アジアに陽が当たる時期になるし、案の定近年になり、世界的にも伝統的な日本文化が見直されてブームとなり、その象徴である富士山の文化遺産登録、日本食文化の無形文化遺産認証、2020年に東京での2回目のオリンピック開催が決定するなどと日本に良い風が吹き込むようになって新年を向かえ、安倍総理の強運さを感じさせることとなったことは、運も実力のうちであり、誠に結構なことである。
しかし本年には、この後消費税や高齢者医療費などの公租公課の負担増負、昨年の増税前の駆け込み需要の反動落、実態の裏づけが乏しく投機的思惑で高騰した株価への警戒と調整、ミニ不動産バブルの挫折といったことも予想されるので、現在の第1、第2の矢によりともされた種火を、第3の矢の経済成長にまで引き継ぎ、その人為的な煽り景気の火が燃えている間に、それを更に実体経済の本格的な燃焼にまで転火して更に燃え盛らせる必要がある。
先のバブル破綻時のような、下手な急ハンドル、急ブレーキをかけるようなミスリードだけは避けてもらいたい。
従って本年、まだ実体経済が本格的に活気づかない状況下では、一時的な人為的好況の演出効果に煽られ、浮かれて、挙句に期待損を味わうといったことのないように、高潮の引き際への供えも忘れず、日本の国家最大の危機打開への試みに関心を持ち、一抹の慎重さをもって、地に足をつけた景気回復や経済発展への参加と協調の努力を心がけ、その今後の経過を注意深く見守りたいものである。

(4)今年のモットーは「屈を以って伸となせ!」

正月早々から縁起でもないとお叱りを受けかねない厳しい現実や、本年も相変わらず、もう一段の苦難に耐えて、生きのびる努力が要求されると率直に申し述べたが、慢心にならない限り、日本にはまだまだ潜在的な発展能力が秘められており、苦境に追い詰められ、いざとなれば、日本人は思わぬ良識の復元力が働き、互助と団結力を発揮することも事実である。
「艱難辛苦は、汝を玉にする」とか、「逆境は進化への足がかり」、「雌伏長きは、飛翔すること高し」という格言もあるように、この国家的苦難を巧みに凌ぎ得てこそ、未来の素晴らしい日本再構築への基礎エネルギーとなる日本人の、良識と士気の覚醒、愛国心と団結力の喚起、人的知識・技能の向上となり、その実現への希望と自信が涌いてくるものといえよう。
従って今年の日本国民のモットーを、「屈を以って伸なせ」にすべきと提唱したい。すなわち、三段跳びの場合でも、最後の大ジャンプに成功し良い成果を得るためには、先ずスタートの足場を固め、良い飛び出しと助走で飛躍への体制を整え、ホップ、ステップと弾みをつけ、最後の大ジャンプの前には、一旦屈んで飛翔のエネルギーを蓄え、最終的にその全エネルギーを爆発させて大きな飛躍力を発揮するという仕掛けと段取りが大切であるが、将来の日本への大改革においても、こういった段階的アプローチが肝要ということであり、目先の功を焦るだけでは、いつまでたっても大きな国家構造や体質の改革は成し遂げられない。
逆境こそが進化への大チャンスであるという、意識革新と、今日・明日の欲より明日の夢を抱かせるための、将来ビジョンの設定と路線の明示が、本年の安倍政権には求められている。

(5)世界の新時代をリードする将来日本の理想像

21世紀の新しい世界が志向することは、「地球規模の豊かで美しい自然環境の保全、恒久平和、全人類の貧困・差別からの解放、欧米が主体の近代資本主義経済の弊害の修正、財物的繁栄だけでなく、精神的にも豊かな物心一助の経済発展と豊かさの実現、そのためには、競争の世紀から協調と共生・共存・共栄の世紀への移行」であるが、こういた理想の地球社会を実現するための、「立地環境、哲学的理念、国家体質、国民性とその資質・能力、主導的知識や技能、政治・経済の安定感、国際的中立性と信頼感」などといった要素や条件を具備し、その指導力やモデルになり得るのは日本であると、世界の有識者で構成するローマクラブでも認めており、それが近年の世界的な日本ブームの背景になっているともいわれている。
確かにわが国は、歴史的事実として、世紀をリードし支配してきた国家の地理的な共通要件とされている、「大陸の先端の半島国か島国で、海岸線を有し、他国の干渉を受け難い立地の国」といった面にも該当し、「東アジアと環太平洋沿岸諸国が21世紀の世界から注目を浴びる地域」といった有識者の予見からも、日本はその中心的な位置を占めており、西欧中心の時代では極東の小さな島国であったであろうが、それゆえに諸大国からの侵略からも見逃され、中立的立場と鎖国での平和と独自性のある繁栄を維持し得たのだが、こういった日本の特性は、現在も有志、将来的にも引き継がれるものである。また四季折々の気象変化が激しく、天災も多く受けるが、それゆえに自然環境との共生の智恵、厳しい環境変化への適応性、忍耐強さと克己心、互助・互恵・互譲の精神、繊細で鋭敏な感性、精密な職人技能などといった優れ精神性や技能、国民性が養成されてきた。
このような立地環境や保有特性などを総合的に考慮し、それを活かすことで国際的にも存在価値のある新時代の日本国再構築の未来像を描くと、世界の良識モデル国家として、政治・軍事・イデオロギーや理念的な永世中立国、恒久平和を志向する非核・非武装の平和国家、財物経済の外観的大きさのトップランク争いから、経済や福祉、社会安全など、国家としての品格や、経済・福祉面での質や内容のトップランク狙いへの発想転換、好ましい政治や経済への原点回帰で、企業より人間中心の「民衆主義の知本主義国家」、独創性・希少性があり、国際的優位性や競争力のある最先端の高度技術、精密技能の先進国、世界の高度技術研究開発室となること、因果応報、自律、自然との共生、競争より協調、報復より容赦などといった仏教哲学、崇高な人類の哲学的理念を基調とした新時代の思想的主導国、モデル国家を志向するべきである。
わが国は、暗い面のニュースやあら捜し、曝露もの、芸能・娯楽への関心が強いといった民衆に迎合し、政治もマスコミも、そのような政策やアナウンスに重点を置きがちで、明るい前向きな、優れた良い点などのPRは不足気味であるが、わが国にはまだまだ世界に誇れ、保持すべき伝統的な素晴らしい精神文明や社会習慣も、科学技術や産業技術、医療機器や光学機器などの工業製品・技術、農業や自然環境保護、自然増賽対策などのノウハウにおいても、世界をリードし貢献し得る分野を内蔵している。
好ましくない面は積極的に改め、諸外国の良い点は素直に認め、謙虚に見習うべきはもちろんだが、優れた点についても自信を持ち、世界に貢献したいものであるが、そういった日本の良い点は、むしろ日本人以上に外国人の方が認めている。
今後はこうした特性を更に活かす実体経済の実質的成長戦略の確立で、アベノミクスを成功させ、更には新時代に向けての日本再構築にまで、積極的に取り組まれることを期待して止まない。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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