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どの道を辿るか今後の日本

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公開日付:2013.07.26

人間は誰でも、目隠しをされて、いくら「根性さえあれば、何事にも不可能はなく、必ず道は拓けるから、勇気を持って歩け」と発破をかけられても、先が見えないほど不安なことはなく、進んで歩を踏み出すことが出来ない。先が見え、その目的や情報が確認できてこそ、自ら積極的に自信を持って歩もうとするものである。
本稿ではこういった観点から、今後の日本を取り巻く環境と、その道をどう辿るべきかを、いくつかの課題について考察してみよう。

(1)地球自然環境変化の予想と、その対応

21世紀の地球が抱える問題は、今更申すまでもなく、世界規模の近代工業化や科学技術、経済活動の発達による森林など自然環境の汚損と破壊、宇宙船地球号の搭乗員である人口、とりわけ後進・発展途上国での人口の爆発的増加、天然埋蔵エネルギーや産業基礎資源、食料・水産資源枯渇の深刻化、これらに伴う温暖化と異常気象、天然災害の増発などである。
しかしこれらは、宇宙や地球自体の構造変化というより、人類の欲望や意図により招いた問題であるが、一度失われた自然はそう簡単に短期間で再生・復元し得るものではなく、例えば森林の樹木の伐採は短時間で簡単だが、その分を新たに植林し、商材になる樹木に再度育てあげるには、最低でも親子3代/100~200年間を必要とし、しかも山林が荒廃・絶滅すれば、河川や陸地、海洋まで死滅し、気象環境が変化し、動植物などすべての自然の生態系秩序が乱れ、地球の滅亡を早めるという。
これを今後の科学技術の進歩で克服・解消する方法が見出されたとして、それには数百~数千年以上の長期間と天文学的な費用が必要とされ、現実的には不可能である。
それに自然界の動植物の摂理としては、衰退・絶滅の途を歩み、その危険限界値を割り込んだ種族は、一層その歩を早めこそすれ、それを阻止し復元されることはないとされているから、その危険限界域に達する前に、早めに是正の対策を講じなければならないのだが、今がもう既に待ったなしの機に到っていると認識しなければならない。
従って、これらが人為的に招いた困窮であり、しかもある時期の突然の"点"時限の変化でもたらされたものではなく、長時間にわたる"線"の時限の延長線上でもたらされたものと考えねばならないから、早めから先を見通し、じっくり腰を入れて長期間、根気強く継続的に改善や予防に取り組む必要があるが、その契機は、人間の現時点での瞬時の正しい認識と判断・決断による意識の改革から始められ、線の努力へと繫がるものである。
そのためには、近代化以降の世界を支配した欧米流の、自然の破壊や他者の領域を浸蝕してまで、利己的な無限の財物的欲求を満たし、富を独占し、飽くなき豊かさを追求し続けようとしするエゴと闘争・競争、物質文明や拝金主義万能の意識を改め、当面の対処策はともかく、根本的には、自然との調和的共生・共存・共栄や、互譲・互恵の精神、地球全体・全人類の需要と供給の均衡化を図るため、ある程度の満ち足りるを識ること、物質文明と精神文明の両面での調和的繁栄をもって真の豊かさと幸福の価値尺度とすることが肝要であり、それ以外に人類の生存と繁栄を続ける道はない。
この点については国際的にも、諸国の実状や実力を評価する統計指標として、従来の経済的規模の大小だけで評価するGHPやGDPの他に、その質的充実度や国民の幸福度を加味して評価しようとするGNH(HはHappiness)が重視されるようになりつつあることは妥当なことといえよう。

(2)世界情勢変化の予想と、その対応

歴史的な世界の潮流から見ても、陸地面積の広さと海岸域の広大さ、人口構成比、気候風土、天然諸資源の豊富さ、自然との調和や過欲を戒め、家族制度や社会秩序を重んじる仏教哲学や儒教精神を根底とした民族の精神文明、潜在発展余力を秘めていることなどを考察しても、近代を主導してきた欧米諸国にとって替わり、新しい豊かさや人類の幸福の価値尺度の見直しに関心が高まって「新代の模索期」を迎えることとなった今世紀中は、東アジア地域が世界の焦点となることは間違いない。
それも、これまでのアジアを代表してきた日本・韓国・中国などの北東アジアから、漸次、東南アジア、さらには南アジアに重心が移行するであろう。
目下のアジアの先頭に立っていると自認し、世界覇権を制しようと目論む中国は、その雑多な民族構成、複雑な一国二制度の矛盾、共産党の独裁的強圧政治と情報統制、官僚の汚職への民衆の反発、極限状態に達した貧富・地域・民族間格差の増大、あまりにも急膨張した経済的発展とそれに伴う公害の多発に対する環境保全や社会福祉制度、社会インフラの整備の遅れなどといった歪の顕著化、世界第2位に躍進し、このまま無難に推移し得れば、いずれは人口差などからアメリカを追い越し世界一にもなろうとしている外観的大きさのGDPと、それに均衡しない一人当たり国民所得(日本の10分の1以下)という非効率性、バブル経済破綻の兆し、世界秩序を無視した軍事力強化と覇権欲、露骨な挑発的外交の横暴さに対する世界からの警戒感と非難の集中など、内外の諸問題を抱え込むようになり、今は内政のコントロールがきかなくなりつつあることへの恐れからの焦りの時期といえようが、いずれ近年中に反転落の混乱を迎えよう。
韓国は、アメリカに見習い追いつき、追い越せとアクセルを踏み続け暴走した挙句に反動落の苦境を迎えた過去の日本の轍を踏もうとしており、もう既にその兆候が見えはじめている。
となると、ポスト中国のアジアの次なる牽引国といえば、環境条件的にはインドか、脱皮に成功し得た場合の新生日本の再浮上ということになろうが、もはや一国の独占的主導の時代ではなくなろうから、相対的傾向として、今後21世紀前半のアジアの重心は、南アジアの特定国というのでなく、東南部アジア地域ということになる。
EUは、量的拡大より質の重視という方向を辿り、今後はそれに歩調を合わせられない国の脱落もあろう。ロシアは西向きよりルック・イーストの姿勢を強めることで発展の活路を見出そうとし、その正否は中国を牽制しつつ日本との関係をどのように修正するかにかかるであろう。
アジアの発展に次いで21世紀の後半に台頭するのはブラジルを主体とした中南米、更にそれに次ぎ浮上し始めるのがアフリカということになろうが、アフリカは、従来の欧州諸国のような植民地的感覚での利権支配や資源の奪取場としての支援ではなく、イデオロギーや軍事戦略的交換条件を抜きにした、純粋な教育、技術、医療、社会インフラ整備、環境改善などの支援で、近い将来の有望な市場に育て上げ、良好な互恵関係を構築するといったアプローチが重要であり、その面でも日本は彼らに信頼される最適の友好的支援国となり得るといえよう。
中東諸国(西アジア)は、国内紛争が解消されて政治的に安定し、国際社会の秩序に同調することがなければ、唯一取り残された地域のままとなるが、その鍵は有限の石油エネルギー資源の賢明で有効な活用と平和的手段での民主化次第にかかる。
自国の利益中心で、経済・軍事的にも優位に立とうとする競争心や、相手国の事情も考慮しないエゴな自由化、優越国に都合が良いグローバルスタンダードの押し付け、貧富格差の増大が続き、好ましい政治・経済、真の平和や幸福とは何かという原点に立ち帰った共生・共存への根本的理念や価値観の転換がなされない限り、今世紀中も、局地限定化するとはいえ、戦争や動乱は絶滅せず、軍事戦争に代わる経済・貿易・金融・情報などの争いは激化こそすれ、この世界から払拭されることはない。

(3)超大国アメリカの将来予見と、その対応

わが国は第2次世界大戦の敗戦以来、すっかり自信を失くして自虐的になり、自主・自立・自尊の気概を欠き、諸外国の顔色を窺いながら後手後手で対処し、とりわけ占領国アメリカの洗脳教育を受け、すっかりアメリカナイズされ、環境条件が異なるにもかかわらず、その亜流で良しとして追従し、一蓮托生の仲となってしまった感がある。
20世紀の後半以来世界を政治・軍事・経済などあらゆる分野で主導・支配してきたそのアメリカ流の理念や行過ぎた行動態様に歪が生じ、修正が求められるようになって、国際的権威と信頼が低下し、中国の台頭などもあって、何でもアメリカの思うがままが通用し難くなってきた。
アメリカが巨大化し過ぎた弊害でおかしくなれば、日本は当然その影響を大きく受けるが、なり振り構わず自国の利益と安全最優先となれば、日本を抱き込んで散々都合よく操ってきた身勝手なアメリカが、自己犠牲を払ってまでも日本の繁栄や生存を助けてくれるという保証はない。
アメリカは第2のヨーロッパとされるが、元来、移民してきた雑多な民族混合で形成された合衆国であり、現在の人口構成ではヨーロッパ系の白人(WASP)より有色人種(米国の俗称でカラード)が約65%と上回り、経済・金融・法律・石油などの資源メジャー・情報などの主要部門を支配し、実質的に主導しているのは、人口比構成比3%程度のユダヤ系アメリカンであり、彼らとWASPで全米の富の役7割を制し、貧富格差が危険ラインに達している。
ジュディッシュ・アメリカンはその生い立ちからも、無国籍で仮住まいの移動民といった意識があり、危機に敏感に反応・対処し得るるように、自己防衛のための拝金主義に徹し、土地の長期保有に執着せず、設備投資金の回収に長期間を要する製造業には手を出さないが、金儲けには狡猾で、金融・相場、損得感覚が鋭く、投機心が旺盛、猜疑心が強く、情報操作、錬金術、謀略に長けており、自由さを好む。
だから自己に目障りで反抗する相手は徹底的に叩き、やられたら執念深くそれ以上の仕返しをし、利益なしとなれば変節し、簡単に切り捨てる。
このように、超大国アメリカの実態は、生産は海外依存、双子の赤字といった問題を依然として抱えながらも、庶民は貯蓄よりマネーゲームに煽られ、借金で派手な消費生活をし続けているといった状態であり、決して完全無欠、健全で安泰な国家とはいえないのである。
しかし、難病を抱え最盛期より少し体力や体質に衰えが見え始め、従来のような段違いの偉大さで世界を主導し、なお攻勢をとる活力を保ち続けるとまではいえなくなり、相対的に世界での権威と信頼は低下し、やや内向きの姿勢をとるようになるであろうが、まだ今世紀中は、世界一の座を譲り渡すことはなかろう。
従って日本の今後の対応としては、アメリカ一辺倒でなく、主体性を持って是非の主張を明確にし、独自性を発揮した平和を尊ぶ良識と品性のある国づくりを目指すといった将来像を押し出して、多方位外交を展開する姿勢に改めることが肝要だ。

(4)日本の経済体制の問題点と、今後の改善方向

経済活動の場面は、海外諸国とのモノ・カネ・ヒトの交流と決済という国際経済と国内経済とに大別され、国内経済は公共経済と民間経済の場面に、民間の経済は更に企業と個人家計に分けられる。
単純に申し上げて、お金回りが良い分野が経済が良いということになるのだが、先ず現在の日本経済は、国際経済の場面では、総体としては貿易収支では輸出が輸入をやや上回っているが、いわれるほどの極端な輸出超過ではなく、韓国やドイツ、産油諸国など、日本よりずっと輸出超過の国がいくらでもある。ただ日本の場合、アメリカや中国など、特定国への集中豪雨的な輸出・輸入の偏重が目立ち、その当事国間の軋轢と不満の声が大きいので、そういった印象が持たれるのであり、対米では輸出>輸入だが、対中では大きな輸出<輸入となっているし、資本収支では大幅な赤字、従って経常収支では少し黒字だが、これは近年減少傾向が著しく、総合収支でも赤字国で、これは増大傾向が強くなりつつある。つまり折角汗をかいたモノづくりで稼いでも、海外投資で吸い取られ、損をさせられているのであり、これが日本に金融の証券化・自由化を迫ったアメリカの謀略の罠なのである。
国内経済の場面では、公共経済分野は、緊縮財政の小さな政府を目指しており、民間にお金を多く回して活力を与えるような政策を採っている。その民間の分野では、企業、それも大企業優遇志向であり、不満の声が目立たない個人家計へのお金回りは少なく、その上に公租公課負担増などで更に絞り上げ、弱者に皺寄せといった状況になっている。
政府の言い分としては、上層部が良くなれば、間接的ではあるが漸次その恩恵が末端にまで浸透するというのだが、昨今の大企業は自社の利益と生き残りしか念頭になく、下請け中小企業苛めや従業員の冷遇を続け、余剰資金は将来に向けた国内投資より海外でのマネーゲームに流れているのでその思惑通りには進み難く、今後は必要部分への直接支援、足元を強める頭寒足熱政策への発想転換が必要だ。
経済活動の舞台は、(1)生産活動(供給)、(2)消費活動(需要)、(3)分配、(4)貯蓄(再投資)であるが、これまでの資本主義経済学では、(1)の供給側の論理が優先され(2)の需要側の事情には関心が乏しかった。
しかし経済の原点は最大多数者の最大幸福の実現であることを考えると、資本家側よりに消費者志向を優先するのが本筋であり、その必要を満たし生活の安心と安定を図り、需要と供給の均衡、諸般の適量とバランス感覚を重視すべきである。
現在の生産技術で供給能力は十分あるが、需要側の人口は減少傾向にあり、しかもその胃袋(需要量)にも限界があるので、供給>需要となり、その余剰分は他地域の需要に向ける輸出か、それが不可能なら不良在庫の増大、それを値下げで損をしても売りさばき換金をしようとすれば、デフレ不況を招き、経済の活力が低下するという悪循環を招く。従って今後は、生産より新規需要の創出、需要量を予測し、必要量を生産提供する事が肝要ということになり、特に日本は、低価格輸出競争ではコスト高で不利なので、国際分業化を推奨し、わが国は稀少化、高級化、高品質化分野での差別化と優位性発揮、世界の工場より高度技術研究開発室を目指すことが得策であろう。
生産と消費の間で所得が発生し、その所得をどう適切に最も効果的な分野に再配分するかという(3)の分配への関心がこれまでの経済では欠落していたが、今後はこの分配の適正化が重要課題となろうが、それはきめ細かな税制の適切さによる。
所得の余剰分は(4)の貯蓄に回る。ひと頃アメリカは、「貯蓄は悪徳」と貿易競争で強くなった日本叩きをし、金融の証券化を謀り、これを自国が得意とする投資経済に吐き出させ吸い上げる悪巧みを仕掛け、まんまと日本はマネーゲームの罠に嵌められカモにされたのである。本来貯蓄は、多少の時間的ずれはあっても、生活安全の備蓄目的の他に将来の消費に備えたプール資金といえ、直接投資ではなくても間接的に、銀行預金から銀行融資を通じて産業界の再生産に向けられるものである。だから国民の貯金そのものが悪ではなく、金融機関の再投資の適正さこそが問題であり、この資金が前向きな分野に回されず投機的不動産やマネーゲームに向けられるようになったことが、本来の資本主義の理念から逸れ、経済混乱を招いたのである。
以上のことから、この際、好ましい政治や経済の原点に立ち帰り、真の豊かさとは何かを見直し、経済理念や手法を根本的に切り替えない限り、近年の国際紛争や経済不安定さを解消することは不可能であり、たとえ財物的には栄えても心は満たされず、混乱は続き、特性や品性が失われて並みの国に成り下がり、再興隆は遠のく。
今の日本は、その待ったなしの岐路に立っており、どの道を辿り成果を得るかは安倍総理の良識と手腕、アベノミクスの実体経済への反映にかかるが、裏づけが曖昧な危険な賭けに日本の命運を預けて良いものであろうか!一時的株高だけで成功と自賛するにはまだ早すぎようし、国民もその煽りだけで美酒に酔うのは軽率ではなかろうか。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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