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資源枯渇と価格高騰時代の企業戦略

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公開日付:2013.06.28

1 第3段目の矢を放ったアベノミクスの評価

旧毛利藩の山口県出身者らしく安倍首相が「3本の矢」で強い日本経済の再生を目指すとする「アベノミクス」を表明し、(1)大胆な無制限の金融量的緩和という第1の矢、(2)積極的財政出動という第2の矢に引き続き、ようやくその最も重要な目的である(3)経済成長戦略の実施という第3の矢の具体案が発表されたが、案の定というべきか、その内容は、相変わらず目先の選挙対策人気取り策、差し当たりの問題事項の泥縄的な小手先彌縫策でしかなく、世界規模の大局的視点や将来を遠望した国家百年の計による根本的な治世の理念や経済ビジョンの刷新、経済体質や産業、社会構造の改革などの斬新な具体策提示がなく、抽象的なまやかしの美辞麗句でしかなかったことは、誠に残念でがっかりさせられた。
もともと冷静な有識者からは、アベノミクスは論理的・現実的な裏づけが乏しい危険な賭けに打って出たものと危惧されてきたが、これを受けて市場も早速に敏感に反応し、第1・第2の矢で気分が盛り上がっているうちに、第3段目の経済成長ロケットを打ち上げ、軌道乗せをしようとした「安倍のみ“くすっ”」の目論見がはずれ、様子見の荒れた相場から、更には海外大手機関投資家の売り逃げで反転暴落しかねない「アベノリスク」の傾向を示すようになり、化けの皮が剥がれて、一時的な糠喜びの後の混乱と後始末の苦難だけが残されようとしている。
しかしこの間にも、地球の自然環境破壊や異常気象は進み、世界的なエネルギーや産業基礎資源、食料資源の枯渇化と価格の暴落が深刻化しているのである。

2 日本経済の命運を握る産業資源の枯渇と価格高騰

事業活動は種々の環境の変化の影響を受けるが、とりわけエネルギーや産業基礎資源の自給力に恵まれない日本にとっては、これらの資源枯渇化と価格の暴騰は、国家や企業の運命を左右し、国民生活の死活問題ともなる。
従って、これに関しては、わが国の政治的主導力や国策的環境づくり、長期的展望に立つ根本的な国家構造や経済体質の改革、代替エネルギーの探求などの手ぬるさや、過度のマネーゲーム資金による資源相場の高騰などなど、疑問点や不満、修正すべきは多々ある。
だがしかし、そういっているだけでは済まないので、企業独自としても、これからも予想される一層の激動と変革、激烈な国際・国内競争時代、経済不安に対処し、手堅く生き抜き、健全な事業経営の永続・発展を図るための自衛・自助、適正な利益の確保策を講じなければならない。

3 収益獲得のための基本原則

さて、収益の獲得策、くだけて言えばお金を手に入れるにはどうすれば良いかに関しては、事業所得、給与所得、不動産所得、譲渡所得、臨時所得など、下記のようなさまざまな方法がある。すなわ、(1)親や親族などからお金を貰う(贈与など)、(2)先祖から引き継いだ遺産の不動産などを運用したり売却して収益を得る、(3)預金や株式の利息・配当収益を得る、(4)宝籤や競馬などの懸賞金を得る、(5)銀行などから借金をしてお金を手に入れる、(6)落語の冗談のように、落ちているお金を拾う、(7)甘言や脅迫で騙し取る、(8)スリや空き巣や強盗をして奪取する、(9)他者の労働の成果収入からピンはね搾取する、(10)為替や株式、商品などの相場で差益を得る(差損となる危険性もある)、(11)一生懸命に自らの身体を働かせ汗をかいて働き、その労働の対価として収入を得るか、自己の知識や技能、価値を高め、頭を働かせて高収入を得ることなどである。昨今のアメリカ流金融工学理論を駆使し、梃子の原理でお金を転がしたり、債権の小口証券化などという錬金術やマネーゲームも、頭を使って稼ぐといった点ではこの分野といえようが、過度な投機や誰かに損失を付け回すような行為であれば、それは狡猾な悪知恵の経済手法といえ、道徳的に好ましくない。
これらの中で、(1)~(4)のような幸運な人は稀少な存在であり、(5)には信用力が必要、(6)~(8)は不法な犯罪行為であり許されない。(9)は契約上の合意がない限り、狡猾で好ましいことではなく、(10)はそれなりの知識も必要で、相場だから損得はつきもの、しかもそれは自己責任で判断すべきこと、ハイ・リターンを狙えばハイ・リスク、ロー・リスクはロー・リターン、長期的運用は高利、短期の流動的運用は低利が原則、金利にも固定と変動相場制があり、課税や取り扱い手数料も考慮して金融商品の選択と実質利回りを検討するべきだが、金融元本に相場変動があるものなら、金利と利回りは異なること、確定金利か予想利回りかなども知らねばならない。また、金融商品の選択では、安全性・確実性・流動性・収益性・節税性・機密性・信用創出性、リスク対応性などの総合的判断が必要だが、一つの商品でこれら全ての要素を満たすものはなく、それぞれに長所と短所や、何に重点を置くかの特徴がある。
となれば結局、健全なお金儲けの王道は(11)以外にはないこととなるが、ここでは「入るを計り、出るを制すること」、「お金を稼ぐには頭を使い汗を欠き、それを使うに心を大切にせよ」、「濡れ手に粟のぼろ儲けや投機を狙う者は、いつかは脇の下に冷や汗をかく」、「浮利を追い目先の小利に拘り、大欲を失するな」「甘い話には、必ず落し穴がある」、「悪銭身につかず」、「勤勉節約、算用、才覚」などといった先賢の名言を尊重すべきである。また、「大切な卵(資産の運用・管理)は、一つの籠に盛るな」であり、(1)預貯金、(2)株式や公社債、(3)不動産、(4)年金・保険、(5)自己の能力や技能、趣味の啓発投資の「財産5分割管理」を推奨しておこう。

4 健全な企業経営のための収益確保策

基本として、(1)経営トップから、お金の使い方や収益管理の厳格さを率先垂範し、そのような組織風土を醸成すること、(2)全社員に数値意識、収益採算観念を植え付け、企業財務常識の教育を重視し、収益目標による経営成果管理体制を徹底すること、(3)必要経費と節約すべき冗費・乱費とを峻別し、その収支管理の厳格化、ダブルチェック体制を確立すること、(4)販売なくして事業収益は上がらず経営は成り立たないが、販売とは、商品の資金化活動であり、不良在庫はお金の死蔵と損失の発生、商品ロスや冗費・乱費はお金を捨てていることと考え、契約や納品(在庫の移動)で販売は完成せするのでなく、代金回収があってこそ初めて完結するものであることの周知徹底を図ること、(5)ノルマとは、正常な平均標準値でしかないので、それを達成するのが当然の並みの社員、それ以下はぶら下がり社員だが、なぜ、何を根拠に、各自のノルマが設定されているかの合理的な説明をすれば、やらされているという感覚がなくなり、自ずとやる気も、やらねばならぬ意識も高まるし、一人一人の小さくとも確実な目標達成の累積が、全社の大きな収益目標の必達成に連なる。
企業の財務や収益は決算書の貸借対照表や損益計算書で明示されるが、収益には、(1)売上額-製造原価又は仕入原価=売り上げ粗利益(通常は総利益、粗利益、荒利益、アラ利益、付加価値などといった用語が用いられるが、「総」は全ての経費を差し引いた利益と勘違いされ、「粗」は粗末、「荒」は荒っぽい暴利、「アラ」は残り滓の印象を与えるので、これが各段階の基礎となる利益であることから、筆者としては、基礎利益の「礎か、素」を用いるのが解り易いと予てから提唱している)、(2)は、(1)の粗利益から営業・管理費用などを差し引いた「営業利益」、(3)は、(2)から借入金の利払いなど金融費用を差し引いた、通「常」の「経」理処理を済ませた結果の利益であるから「経常利益」、(4)は、(3)から更に、営業活動による利益でない今期に限り特別に発生した、例えば遊休資産の売却利益や損失を加減した当期の純粋な利益であるから「当期純利益」、(5)は、さらに(4)から、当期の限り臨時的に発生した災害損失費用、公的見舞・助成金の受け取り、寄付収入などを加減した「当期納税前の純利益」、(6)段階目の利益は、(5)からまた更に、当然の義務である納税を済ませた後の「当期税引後純利益」、(7)段階目の利益は、(6)からさらにまたまた、株主配当金や役員賞与として社外に支払い流出する費用を差し引き、全ての経費支払いを済ませた後の最終段階の利益で、この利益こそが翌期に繰り越し社内に留保・蓄積される本当に純粋な瓶の底に残った真水のような利益といえる「翌期繰越当期純利益」と称されるものであり、これを最重視すべきだ。
こういう7段階の利益並びに費用支出を経るので、売上高が多く初段階の粗利益は得ても、その他の各段階費用の支出が嵩むと、「7色の虹(各段階の利益)は何処に消えてしまったの?」といった流行歌の歌詞のように、最終的には僅少な利益や、下手をすると損失発生の赤字経営ともなるので油断が出来ず、各段階の僅かづつの経費節減がいかに大切かご理解願えよう。
収益の確保策としては、第1に「売り上げによる利益」…(1)より多くの受注で受動的に売る大量販売、(2)より積極的、能動的に売る販売促進、(3)潜在購買欲求を喚起させて売る推奨販売、(4)新規需要の創出を図るデマンド・クリエーション、(5)高値をつけて売る単純値上げ、(6)高額品を扱う高級化、(7)サービスの向上やインセンティブを付加する高付加価値販売など、第2に「仕入による利益」…(1)値切り、値引き要求、(2)現金仕入れ、(3)一括大量仕入、(4)産地直仕入れ、(5)青田買い、(6)残品叩き買い入れ、(7)先物取引予約などである。
しかしこういった売り上げや仕入れによる収益確保には、買い手側の事情もあるので、仕入れ価格が高くなったから、消費税率が5%高くなったからといって、単純にその分を上乗せし値上げをしたら、購買能力から見て高すぎるとなれば、買ってもらえず、顧客の離反、売上不振、商品回転率の悪化、不良在庫の増大、商品ロスの発生、資金負担増、経業績の悪化という悪循環に陥る。
地球資源の枯渇化、世界の需要>供給という市場環境、為替相場見通しなどを深慮すると、今後、こういった輸入資源コスト高という難題と直面するのが間違いないとなると、日本の産業界は第3の収益確保策を考究しなければならないが、それは「管理の巧拙による利益」、つまり頭を用いて、戦略的な収益構造改革に取り組みということである。
たとえば、企業の本業利益は、「粗利益率×商品回転率」の組み合わせで得られるが、仮に小売業全業種平均を例に説明すると、「粗利益率25%×商品回転率12回=300」、すなわち、粗利益250万円の商品を取り扱う業者が、年に12回転の商品回転で売り捌いた場合、年間で得る粗利益額は3,000万円ということになる。だから、骨董品のような商品回転が6回と遅い商売なら粗利益率を60%と高くし、商品の回転が25回と早い鮮魚・青果商などなら粗利益率は12%という、薄利多売でも標準値を達成でき、粗利益率も、商品回転率も比較的に高い、たとえば外食産業のような業種は、購買単価の低い顧客でも、千客万来の客を早く捌けば大儲けができ、チェーン店を次々と展開できるということになる。世界的にも商売上手とされるユダヤや華僑の商法の秘訣も、この小売業の市場を狙った回転重視の経営にあり、彼らは環境の変化に機敏に対処し難い設備産業の製造業には手を出さない。
よって第3の「管理の巧拙による収益」の確保策とは、先ずこのような(1)ポートフオリオ戦略(多要素の最適組み合わせ)発想と応用で、自社の経営方針や営業戦略の再検討を計ること、(2)情報収集力の強化に努め、情勢の変化に機敏に対応しえる企業体質のしなやかさと、回転重視の商法への転換である、(3)は、厳しい競争社会を英知を使って生き抜くには、大小それぞれなりに、何か一つでも「オンリー・ワン」と誇れるモノやサービスの特徴を保有し、市場シエアで「ナンバー・ワン」の地位か拠点を確保すること。そうすれば市場における知名度も、存在感も、競争での勝利の糸口も、価格設定の主導性も発揮しえる。(4)は、これは自社の努力だけでは解決が困難なことである空政治への要望となろうが、政治外交力を高め、国際協調によるマネーゲーマの意図的で不当な市場操作や資源価格のつり上げの抑制、国策として、石油や原子力発電に代替する恒久的で自給可能な新エネルギーの開発政策への転換、諸資源の輸入依存地域や国の多角化と分散化などは図ること、(5)は消極的なようだが、巨大船も小さな一穴から沈むものだから、やはり省資源・省エネルギー、冗費・乱費の徹底節約など、リボリューション、リフオーム、リデュース、リユース、リサイクルは必要である。
このように、適正な企業の収益確保策や、健全で堅実な事業経営の発展策に、これさえ実践すれば完全といったワン・ベストはないが、これしか方策がないというワン・ウエイでもないので、全社員の周知を集め、その正しい認識と理解と判断、協力と実践、ミックス戦略のバランス感覚があれば、「平凡なことを、当たり前のように、正しく長く続けられることが非凡」であり、「意志あるところに方法は見出され、意欲あるところに道は拓け、知恵あるところに企業の安全と繁栄は約束される」といえよう。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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