読めばわかる与信限度額 part3 ~与信限度額の算出・基礎編~
公開日付:2014.8.1
与信限度額の算出方法は、数多くの種類が存在します。
また、業種や事業規模によって与信限度額の算出方法は異なります。
絶対的な方法は存在しないため、各企業にとって最も適切な与信限度額の
算出・運用方法の確立が、与信管理担当者には求められています。
今回は、「読めばわかる与信限度額」シリーズの3回目として、
簡単な与信限度額の算出方法の一例をご紹介いたします。
自社の与信限度額を設定するための参考にしてください。
(※以下、審査対象の取引先をA社とします)
・売掛債権割当法
A社の与信限度額=自社の売掛債権合計×A社への販売比率
・自己資本の1割法
A社の与信限度額=A社の自己資本合計×10%
・5年間粗利法
A社の与信限度額=A社との取引商品の粗利益率×A社への年間販売額×5
・流動比率法
A社の与信限度額=(A社の流動比率÷業界平均流動比率)×A社の流動負債
・担保余力限度法
A社の与信限度額=A社の所有資産の担保価値-担保債権合計
・標準企業比較法
A社の与信限度額=標準企業の限度額×A社の信用度による掛け率
(※例えば "良い"=150% "普通"=100% "悪い"=50% などで掛け率を設定。)
取引先の財務状態が不明であるが、資産担保状況は判明している場合などは
「担保余力限度法」を活用し、与信限度額を算出することができます。
このように、複数の切り口による与信限度額の算出方法を知ることで、慎重なリスク管理が
可能になるだけでなく、与信管理上必要な情報が不足している場合にも
対応することができます。
この他にも、各種財務比率や、信用調査会社の付与した評点を活用した
与信限度の算出方法など、様々な手法が存在します。
同業他社が、自社と同じような企業規模や財務体質である場合は、同業他社が
A社に対しどのような与信限度額を設定し、取引を行っているかも
非常に参考になります。