読めばわかる与信限度額 part2 ~取引実績と与信限度~
公開日付:2014.6.30
与信限度額を設定には、多くの場合、当該企業との取引実績が考慮されます。
信用調査の結果が同じでも、取引実績のない新規取引先と、長年の
継続取引先では、継続取引のある方が最終与信限度額は大きいことが一般的です。
しかし、自社との取引実績を過度に重視することはかえって
リスクを招く結果となります。今回は、「読めばわかる与信限度額」シリーズの
第2回目として、新規取引先、継続取引先、単発取引先の与信限度設定時の
注意点についてご紹介いたします。
新規取引限度
新規取引先については、自社内での信用度が確立していないため、
取引開始時は与信限度額を低めに設定し実績と共に増やしていく
という考え方が一般的です。
ただし、以下のような企業の場合、初期の与信限度額を通常より
低めに設定することも検討しましょう。
・相手先からの取引の申し込みがあるが、経緯が不明
・相手先の経営内容や信用度がよくわからない
・通常の手続きに基づく与信限度の設定が間に合わない
・扱い品の流通経路が不明
継続取引限度
取引年数が長く、気心の知れた取引先に対しての与信限度額は
大きくなり、経営内容の把握や評価も甘くなる傾向にあります。
ある調査によると、倒産の被害額が最も大きかった販売先との
取引期間は6~10年といわれています。

新規取引は相手先の素性がわからないことで慎重になり、取引金額が
抑制される傾向にありますが、継続取引先は過去の実績があるだけに
安全と考えられがちです。
このような心理が、実際とは逆の行動と結果を招くこととなっています。
単発取引限度
単発取引限度とは、スポット取引の際に発生する与信限度です。
継続取引の場合、決済までの期間に与信限度額が大きく膨らんでしまう
ケースがありますが、単発取引の場合は事前に取引金額と決済時期が
明確となっていることが多いです。
従って、与信限度の設定以上に取引の可否判断や決済条件の設定が
肝要といえます。
与信限度の設定および運用においては、継続取引による優遇制度を設けず、
いずれの取引年数でも正確な情報の入手による与信限度額の設定が必要といえます。