リスクマネジメント基礎 【最終回】 ~リスクマップの作成~
公開日付:2014.4.24
「リスクマネジメント基礎 part1」で、リスクの評価には「発生度の評価」と
「損害度の評価」の2種類があることをお伝えしました。
今回、「リスクマネジメント基礎」の最終回として、この2種類の評価軸を、
どのように実際のリスクマネジメントに生かすべきか、リスクマップの作成例を
通してご紹介いたします。
■損害度評価×発生度評価のリスクマップ作成
まず、取引先のリスクにおける発生度・損害度を5段階(4段階)で評価します。
そして、それぞれを横軸・縦軸としたリスクマップを作成することで、
自社の抱えるリスクを可視化することができます。
これにより、リスクの状況を迅速に把握でき、今後の対応策をスムーズに
講じることができます。
▼対応策のリスクマップ例
損害度評価が軽く、発生度評価も低い場合は「無為保有」とし、特段の対策は不要です。
しかし、発生度評価が高くなれば「有為保有」とし、将来的なリスクを視野に入れ、
それ以上は「発生度低減」に向けた施策を講じなければなりません。
発生度評価が低くても、損害度評価が重い場合は、損害を低減する施策が必要です。
加えて、発生度評価が高まれば「発生の低減」策も講じる必要があります。
発生度評価、損害度評価ともにリスクの高い状態は「移転・転嫁」策を
講じる必要があり、最終手段として、「回避」策を講じる必要があります。
また、上記のリスクマップの手法を応用することで、以下のように
「入手すべき資料と頻度」を合理的に決定することができます。
▼入手資料のリスクマップ例
損害度評価が軽く、発生度評価も低い場合は、簡易企業情報を年に1回チェック
する程度で良いと思われます。
しかし、発生度が高くなるに伴い、年2回以上のチェックが必要となります。
さらに発生度が高まれば、自社で信用調査を実施する必要があり、より詳細な
情報を得るためには、信用調査会社のレポートを取得する必要があります。
損害度評価も含めてリスクが高まった場合は、信用調査会社に懸念事項を
重点的に調査してもらう「指定レポート」の依頼や、複数の信用調査会社からの
レポート取得をおすすめします。
発生度が最も高い場合は、不動産・商業登記謄本などの法的資料も用意しましょう。
リスクマップを用いることで、迅速で合理的な意思決定が可能になります。
上記の例では、適切な発生度と損害度の評価が、有意なリスクマップを
作成するための下地となります。
一貫した意思決定を行うために、リスクの評価軸を設定する際には、
それが適切かどうか、様々な社内の関係者から同意を得ておきましょう。