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2018年のマーケット

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公開日付:2018.03.15

日本株は1月23日が天井の可能性が大きい

1月25日の先月号で、「戊戌九紫火星の2018年は、万物が最高潮を迎え、対策を迫られる年」と予想し、「そうなると関心事は、世界株高、とりわけ上昇基調を辿る日米株の行方、日米欧の金融政策の行方、さらには北朝鮮情勢の行方であろう」と書いた。
 日本株の見通しについては「現局面はオーバーシュート局面だと思う。相場のピークが近づいていると思っている。1~3月が相場のピークではないかと思う」とコメントした。そう書いた途端、2月に入り、株価の急落である。
 日経平均株価は、1月23日(終値2万4124円、ザラ場高値2万4129円)をピークに、直近の2月14日(終値2万1154円、ザラ場安値2万950円)まで、僅か3週間で、終値ベースで2970円、ザラ場ベースで3179円と急激かつ大幅に値下がりした。明らかな相場の変調である。
 先月号に「相場の天井は、相場が崩壊して初めて天井だったと分かる」と書いた。まだ断言はできないが、1月下旬に既に日本の株式相場のピークが近づいていると思っていた筆者は、いまのところ1月23日が過去1年半ほど続いた日本株相場の天井だと考えている。
 実は1月25日、親しい友人・知人との会合で、筆者が「1月23日が相場の天井かもしれないよ」と述べたところ、全員が驚きの顔だった。「まさか」という思いだったのだろう。会合に参加した1人は、私の予想が良く当たることを知る旧知のファンドマネージャーだった。彼は翌日、私への電話で「吉永さんの予想を信じて、持ち株を全株売りました」と連絡してきた。
 振り返れば2018年の日本株は、絶好のスタートを切った。2018年の最初の取引日である1月4日(大発会)の日経平均株価終値は、昨年末比で741円もの大幅高を演じた。大発会の上昇幅としては、1996年の749円以来の大きさである。翌5日、週明けの9日も続伸し、2018年のスタートの3日間で、日経平均株価は終値ベースで1085円もの大幅高となった。日経平均株価だけでなく、東証株価指数(TOPIX)、新興市場も軒並み値上がりした。
 2月相場も、スタートの2月1日の日経平均株価は前日比387円高と上昇した。日経平均株価が毎月最初の取引日に上昇するのは2016年7月以来、20カ月連続になる。日経平均株価は2016年6月、英国のEU離脱で1万4864円の安値を付けたが、以後、上昇基調を続けてきた。2016年7月以来の月初の株高は、そうした動きを象徴してきた。1月24~31日の日経平均株価が6営業日連続で下落し、2月1日の相場が注目されたが、2月1日は大幅高となったのである。この2月1日の株高で安心し、日本株の上昇はなお続くと考えた投資家も少なくないだろう。

2月2日の米国ニューヨーク・ダウは 「悪魔の666ドル安」、5日は史上最大の下げ

 そうした矢先、2月2日の米国株式市場で、ニューヨーク・ダウ(NYダウ)が前日比665.75ドル安となったのである。下落幅は、リーマン・ショック直後の2008年12月1日以来、9年2カ月ぶりとなる大幅な下げである。
 2月2日のNYダウの下げが印象的なのは、9年2カ月ぶりの大幅な下げではない。下げ幅なのである。日本経済新聞など国内メディアは「665ドル安」と伝えたが、ロイター通信など海外メディアは「666ドル安」と報道した。小数点以下を切り捨てるか四捨五入するかで、どちらも間違いではないが、受ける印象は大きく異なる。
 実は「666」という数字は、欧米キリスト教社会では誰もが知る、聖書に出てくる「反キリスト、悪魔を象徴する数字」なのである。かつて世界的にヒットしたオカルト映画「オーメン」は、主人公ダミアンが世界支配のためにアメリカ大統領を目指すというストーリーだが、欧米キリスト教社会では常識の「666」がテーマだったことが大ヒットした理由だろう。
 2月2日の「666ドル安」後、週明け2月5日のNYダウは、前日比1175ドルと大幅に続落した。1日の下げ幅としては過去最大の下げである。まさに、2日の金曜日は「悪魔の666ドル安」だった。8日には1032ドル安と再び1000ドルを超える大幅な下げとなった。NYダウはリーマン・ショック以降、ほぼ9年近い上昇相場を続けてきたが、2018年1月26日(終値、ザラ場高値ともに2万6616ドル)が長期上昇相場の天井の可能性が出てきている。
 米国株の急落・大幅下落により、2月に入り、米国発の世界同時株安となっている。日本株も急落した。日経平均株価も、2月5日が592円安、6日が1071円安、9日が508円安と大幅な下げを余儀なくされ、前述の急激・大幅な下げになったのである。当然のことながら、日経平均株価だけでなく、東証株価指数(TOPIX)、新興市場も軒並み急落している。
 なお、「666」に関連して言えば、日経平均株価も、海外投資家が投資主体となっているだけに、「1996年6月26日」につけたバブル崩壊後の戻り高値「2万2666円」を、2017年11月まで21年間上回ることができなかった。

米長期金利の上昇が米国株の急落をもたらす

 2月2日の金曜日、米NYダウの「悪魔の666ドル安」の引き金になったのは、2日に発表された1月の米雇用統計で、民間部門の平均時給が前年同月比2.9%上昇したことである。賃金の上昇率が約8年半ぶりの高水準となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを加速させるとの見方から、債券価格が下落(金利は上昇)した。
 米10年物国債利回りは、2017年11月の約2.3%から、12月には2.4%台、2018年1月前半には2.5%台、1月後半は2.7%台と上昇(価格は下落)していた。1月の米雇用統計が発表された2月2日には2.8%台になり、5日、8日には一時2.88%まで上昇した。2月14日には2.92%と2.9%台に乗せた。4年1カ月ぶりの高水準である。
 問題は、今後の見通しだ。米10年物国債利回り(終値)は、リーマン・ショック前の2007年6月の高値(5.29%)から、2012年7月に1.38%に低下した。その後、3.00%まで上昇後、2016年7月に1.36%の過去最低金利を付けている。
 この米長期金利のチャートで注目されるのは、(1)2012年7月と2016年7月でダブルボトムを付けた、(2) 2016年11月の米大統領選後の金利上昇により、2007年6月高値から以後の高値を結んだトレンドライン(上値抵抗線)を上回ってきた、ということである。チャート上からは、米10年物国債利回りは、上限3%のボックス圏で推移するか、もしくは長期の金利上昇局面に突入した可能性があるということが指摘できよう。
 短期的には、一旦、3%ラインで一服する可能性があるのではないかと考えている。2012年7月の1.38%からの上昇時も3.00%が上限だった。この後、2016年7月に1.36%の過去最低金利を付けるのだが、今回は一服後、3%を超えて上昇する可能性が高いのではないだろうか。理由は、後述のように金利上昇要因が目白押しだからである。

巨額減税、巨額インフラ投資、歳出上限引き上げなど、米長期金利の上昇要因が多い

 まず、2009年7月から始まったアメリカの景気拡大は丸8年を超えた。2018年1月は、失業保険の新規申請件数が約45年ぶりの少なさとなった。人手不足を映して、1月の平均時給が8年半ぶりの上昇率を記録するなど、最後まで伸び悩んでいた賃金にも上昇圧力が高まっている。さらに、2018年1月の消費者物価コア指数は約13年ぶりの上昇率となった。インフレ圧力が高まっている。
 そうしたところに、米政府は一段の景気拡大策を進めようとしている。2017年12月、個人税制と合わせ10年で1.5兆ドルもの史上最大規模の巨額減税が成立した。1月30日の一般教書演説では、トランプ大統領は10年で1.5兆ドル規模の戦後最大の巨額インフラ投資計画を表明した。景気過熱と財政悪化の両面から、米長期金利の上昇圧力になる。2月9日には、米上下両院が国防費や公共事業費を積み増すため、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)の歳出上限を約3000億ドル引き上げる予算関連法案を可決した。
 米国では、景気の過熱状況が見えるところに、巨額減税と歳出拡大が同時に実施されることになる。今後、米国債の大増発・需給悪化懸念から、米長期金利の大きな上昇圧力となってくるのではないだろうか。

米FRB議長の交代時にはマーケットの危機に直面する

 こうした状況を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)は2018年の利上げをどうするだろうか。米連邦準備制度理事会(FRB)は、リーマン・ショック後の2008年12月から続けてきたゼロ金利政策を2015年12月、7年ぶりに解除し、2006年6月以来、9年6カ月ぶりの利上げを実施した。米国の金融政策は既に金融引き締め局面にあるが、その後の利上げは緩やかである。
 1年後の2016年12月に再利上げし、2017年の利上げは3月、6月、12月と3回だった。2017年は、この3回の利上げに加えて、9月に、これまでの量的緩和政策により大幅に膨らんだ保有資産の縮小開始を決め(バランスシートの正常化)、2017年10月から段階的に減らしている。保有資産を縮小するということは金融を引き締める効果がある。2018年の利上げは、2017年と同じ3回の見通しだが、2018年は保有資産の縮小がフルに効いてくる。
 米FRBのイエレン前議長時代の2017年までの緩やかな利上げが、米景気の長期拡大、米国株の長期上昇相場に大きく貢献したと考えられる。米国株、米景気、米長期金利が重大な局面に差し掛かっているとき、2018年2月、イエレン氏から交代し、就任したばかりのジェローム・パウエルFRB新議長の手腕が問われている。
 2月13日、最近の株価急落を受けて、パウエル新議長が初めて公に発言した。パウエル議長は、「我々は、金利とバランスシートの双方を緩やかに正常化するプロセスにある」と述べるとともに、「金融安定化リスクにも警戒する」と表明した。このパウエル発言を受けて、14日のNYダウは前日比253ドル高、15日は306ドル高と大幅高となり、16日も続伸した。
 パウエル発言の一方で、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は2月8日、「株安はたいしたことではない」とコメントし、クリーブランド連銀のメスター総裁は13日、「市場の動揺によって利上げを支持する姿勢に影響はない」と語っている。今後、パウエルFRB議長が金融政策をどうするか、注目されるところである。
 実は、FRB議長の交代時には、マーケットの危機に直面するのである。1987年8月にグリーンスパン議長が就任した2カ月後の10月19日、ブラックマンデーが起きた。この時のNYダウの下落率は22.6%と、世界恐慌時の1929年のブラックサーズデーを大きく上回った。
 グリーンスパン氏の後任は、2006年2月にFRB議長に就任したバーナンキ氏である。就任後間もなく、米国の住宅バブルの崩壊が始まった。翌2007年にはサブプライム危機が表面化し、2008年のリーマン・ショックに進行するのである。

日米株の先行きに楽観は禁物、米国は史上最大のバブル崩壊の声も

 2月に入っての株価急落により、2月14~15日の日経平均採用銘柄の予想PERは12.81倍に低下した。予想PERが13倍を割り込んだのは、英国のEU離脱ショックで急落した2016年6月24日(12.62倍)以来である。
 日経平均株価の下落幅が1月23日高値から2月14日安値までで3179円に達したことや、前記のPERなど割安を示す株価指標が出ていることなどから、日経平均株価は短期的には戻りを試す展開と考えている。前記のファンドマネージャーにも、2月14日、2万1000円を割り込んだ時、「ここからは一旦戻る可能性が高いよ」とアドバイスした。
 多くの日本人個人投資家も、2月の急落を絶好の押し目と捉えたようだ。2月第1週(5~9日)の個人投資家の買いは過去最大の買越額を記録した。ただ、筆者は、「押し目を買う」には早すぎ、当面、「戻りを売る」のが良いのではないかと考えている。
 なぜなら、筆者は日米株の先行きに楽観は禁物と考えているからだ。筆者は、1月24日からの下落・2月の株価急落を一時的な調整ではなく、過去1年半の短期上昇相場の終わり、さらには2011年11月からの中期上昇相場の終着点と考えている。この考えは、2017年6月22日号に書いたように「エリオット波動」に論拠している。この時、「2018年の日経平均株価は最悪1万4000円の可能性が出てくるだろう」と書いたが、今でもそう考えている。
 先月号に「日本の株式相場のピークが近づいていると思う状況根拠は幾つもある」としたが、この時挙げなかった日本株のマイナス材料としてドル安円高になってきた。1月24日、ムニューシン米財務長官がドル安を容認する発言を繰り返したことがきっかけだ。翌25日、トランプ米大統領がドル安容認発言を否定したが、2月16日に1ドル=105円台半ばまでドル安円高になってきた。米長期金利が上昇しているのにドル安円高になっているのである。マーケットは、金利上昇による米国景気の後退、もしくは米国政府の本音を感じ取っているのではないだろうか。
 日本株の行方を大きく左右する米国市場についても、グリーンスパン元FRB議長は、「2種類のバブルが発生している。株式市場のバブルと債券市場のバブルだ。特に債券市場のバブルが危ない」と警鐘を鳴らしている。世界的投資家ジム・ロジャーズ氏に至っては、「人生最悪のバブル崩壊になる」と警告している。細心の注意が必要だ。(2月20日記)
著者プロフィール

経済・国際問題評論家  吉永 俊朗(よしなが としろう)

1948年福岡県生まれ。九州大学卒。山一証券経済研究所企業調査部長、山一投資顧問投資戦略部長、東海東京証券理事経営企画部長、藍沢証券アナリストを経て現職。著書に「100年たってもアメリカに勝てない日本」他。

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