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震災から1年「東日本大震災」関連倒産状況(3月9日現在) ~「震災関連」倒産が644件 「阪神・淡路大震災」時の4.2倍 ~、信用調査、与信管理、倒産情報は東京商工リサーチ。

公開日:2012.03.09

震災から1年「東日本大震災」関連倒産状況(3月9日現在) ~「震災関連」倒産が644件 「阪神・淡路大震災」時の4.2倍 ~

 3月11日に「東日本大震災」発生から丸1年を迎える。「東日本大震災」関連倒産件数は間もなく1年となる3月9日現在で累計644件に達した。このほかに「倒産」に集計されない事業停止や破産などの法的手続きの準備を進めている「実質破綻」は33件あり、震災関連の経営破綻(倒産+実質破綻)は、3月9日現在で677件にのぼった。

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震災関連倒産が644件 「阪神・淡路大震災」時の4.2倍

 「東日本大震災」関連倒産は、発生から間もなく1年となる3月9日現在で644件に達した。1995年の「阪神・淡路大震災」が発生から丸1年で152件だったのと比べて4.2倍に膨らんだ。

 また「東日本大震災」関連倒産の負債累計は9,254億1,600万円にのぼり、「阪神・淡路大震災」(1,376億7,600万円)と比べて6.7倍に増大した。以下に、「東日本大震災」関連倒産の特徴を「阪神・淡路大震災」時と比較して分析した。

特徴1 全国規模で発生した関連倒産

 1995年の「阪神・淡路大震災」時では、20都道府県で関連倒産が発生したが、このうち近畿地区が124件(構成比81.5%)で突出し、震源地の兵庫だけで87件(同57.2%)と全体の約6割を占め、被災地中心に地域的に偏りがみられた。これに対して、今回の「東日本大震災」では、40都道府県で関連倒産が発生した。地震や津波の被害が東北沿岸部および茨城、千葉などの太平洋側の広範囲に及んだことで、被害の甚大さも相まって影響が全国規模で拡大した。

 「東日本大震災」関連倒産の地区別では、最も件数が多かったのは関東の284件。次に東北100件、中部60件、九州54件、近畿51件、北海道49件、北陸24件、中国12件、四国10件の順となり、直接の被災地である東北の構成比は15.5%にとどまった。

 都道府県別では、最多は東京の162件(構成比25.1%)。次に北海道49件、福岡36件、岩手29件、大阪28件、福島と愛知が各26件、宮城と静岡が各23件と続く。


「東日本大震災」関連破綻状況

特徴2 産業別状況 自粛・節約志向の影響からサービス業他が最多

 1995年の「阪神・淡路大震災」関連倒産では、産業別で最も多かったのは卸売業の56件。次に製造業54件、サービス業他が15件、建設業12件の順だった。特に兵庫県内の地場産業であるケミカルシューズ(合成皮革を用いた靴)業者の多くが被災したことで、靴関連業の倒産が目立つなど業種にも特色がみられた。これに対して「東日本大震災」では、あらゆる業種に影響が飛び火した。産業別では、宿泊業・飲食店などを含むサービス業他が157件で最多だった。次に製造業が150件、卸売業が113件、建設業が105件、小売業が52件)と続く。このようにサービス業他が多いのは、今回の震災の影響が「阪神・淡路大震災」より規模が大きく、広範囲に及んだことを反映した。

 サービス業他、製造業、卸売業、建設業の期間ごとの件数推移をみると、2011年3月~5月では、震災直後はイベント・行事のキャンセル、停電などによる消費自粛から宿泊業、飲食業などで倒産が発生し、サービス業他が32件で最も多かった。次に製造業25件、卸売業16件、建設業8件となった。しかし、2011年6月~11月では、製造業が92件と増勢し、サービス業他を上回った。製造業では、震災直後は持ちこたえたものの、その後の受注状況が回復せず行き詰るケースが増えた。次にサービス業他79件、建設業73件、卸売業69件となった。

 2011年12月以降では、ゴルフ場や飲食店、広告業などの倒産増加からサービス業他が46件で最多に転じた。次に製造業33件、卸売業28件、建設業24件の順だった。

産業別 件数構成比


特徴3 「間接被害型」が9割を占める

 1995年の「阪神・淡路大震災」関連倒産の被害型では、工場、施設、機械や人的被害を受けた「直接型」が84件(同55.2%)で過半数を占め、「間接型」68件(構成比44.7%)を上回った。

 これに対し「東日本大震災」では、「間接型」が598件(構成比92.8%)に対し、「直接型」は46件(同7.1%)にとどまった。「直接型」が少ないのは、未曾有の災害で休・廃業のままで、今後の方針が定まらない企業が相当数あることも影響した。

 このように、取引先・仕入先の被災による販路縮小や製品・原材料・資材の入手不足、受注キャンセルなどが影響した「間接型」がほとんどを占めているのは、経営体力が脆弱な企業が多く、震災が業績不振に追い討ちをかけたとみられる。


特徴4 高水準の推移が続く倒産件数

 1995年の「阪神・淡路大震災」関連倒産では、震災発生から1年を経て、月次件数が1ケタ台に沈静化した。これに対し「東日本大震災」は、月平均で50件を上回り、当面は急激に減少する気配がない。中小企業は、リーマン・ショックに端を発した「世界同時不況」で、経営環境の悪化に拍車がかかった。このため2008年10月から開始された「緊急保証制度」や、2009年12月施行の「中小企業金融円滑化法」が金融支援策として実施され、政策効果から資金繰りは一時的に緩和された。しかし、業績回復に努めようとした矢先に「東日本大震災」が発生した。「東日本大震災」関連倒産が高水準で推移している背景には、業績回復が伴わず息切れする中小企業が多さが挙げられる。

東日本大震災関連倒産 震災後月次推移


特徴5 倒産企業の従業員数は1万1,412人「阪神・淡路大震災」時の4.3倍

 「東日本大震災」関連倒産の従業員数は、1万1,412人にのぼり、1995年の「阪神・淡路大震災」時の2,629人に比べて4.3倍になった。

 ただし、「東日本大震災」関連倒産644件のうち、従業員数別では、5人未満が208件(構成比32.2%)と3割を占めた。また5人以上10人未満も155件(同24.0%)となり、合わせて10人未満が363件(同56.3%)で、小規模企業が全体の約6割を占めた。

まとめ

 「東日本大震災」発生から1年を迎えるが、本格的な復興事業はこれからである。被災地では休・廃業のままの企業が相当数あり、今後の整理方針によっては倒産の増加が懸念される。

 また、事業停止や破産などの法的手続きの準備を進めている「実質破綻」のケースも、これまでの水準で推移している。中小企業の業績回復が鈍いなかで、「東日本大震災」関連倒産は、当面は現在のペースで推移する可能性が高い。このため今後の動向を注目する必要がある。

 


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