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「東日本大震災」関連調査 ~青森県八戸市における被災企業の状況~、信用調査、与信管理、倒産情報は東京商工リサーチ。

公開日:2011.05.02

「東日本大震災」関連調査 ~青森県八戸市における被災企業の状況~

 港湾と共に発展してきた青森県八戸市、津波の影響で沿岸部に集積する水産・工業地帯に被害が及んでいる。東京商工リサーチデータベースによると八戸市に本社を置くのは3,894社。このうち津波到達範囲(八戸市ホームページ参考)にあった法人数は326社で全体に占める割合は8.3%。今回、沿岸部で被害が大きかった地区に焦点を当て、被災状況を探ってみた。

築港街、新湊、白銀、白銀町三島下、沼館、江陽、豊洲、小中野地区

 江陽地区は地元資本の他、中央資本の製造業も見られる。工場設備が海水に浸かったことで震災後製造ラインがストップし、未だ全面稼動には至っていない状況。新湊地区では大型漁船が津波により主要道路に打ち上げられ、平成23年3月に完成予定だったハサップ対応型荷さばき施設も被災。また、同地区は水産加工会社が多く、加工設備や冷凍冷蔵庫などの被害が特に目立った。沼館地区は大型ショッピングセンターを中心とした郊外型の開発地域であり、周辺にはガス会社、自動車整備工場、小売業など幅広い業種が見られるが、被害状況は他地区よりも比較的小規模に収まった。豊洲地区は埋立地の人工島「ポートアイランド」として港湾輸送、リサイクル工場が立地、センタービル内にはIT企業などが入居するなど産業地域となっており、その他LNGガス輸入基地の建設予定地なども被災した。現在は全体的に復旧作業が進められ、営業再開に漕ぎ着けている企業もあるが、設備を含めた被害が大きく、完全な状態に戻るには相当の年月がかかると見られている。

道路には未だ漁船が横たわっている

道路には未だ漁船が横たわっている。

河原木地区

 河原木地区の沿岸部には八戸市の産業を支える臨海工業地帯を含み、三菱製紙八戸工場や大平洋金属、八戸製錬八戸製錬所、東京鉄鋼など紙・パルプ・鉄鋼関連の大型工場が立地する他、飼料コンビナート周辺にはメーカーの大型サイロや地元の保管倉庫業者が連立している。今回の大津波がこの臨海工業地帯を一気に飲み込み、当地区での被災企業は84社であった。床下浸水から建物全壊まで程度差はあるものの、何らかの被害を受けた模様。既に震災から1ヶ月以上が過ぎたが、地区周辺には多くのがれきや破損した車両、丸太などが散在している他、コンクリートブロック塀は砕け、信号機が作動停止している箇所も見受けられる。いまだ1階部分に入り込んだ汚泥撤去も終わっていない事業所も多く見られる。被害が大きかった飼料倉庫についても、バラ積みの飼料が海水を吸い込んだことによってジェル状となり、通常の方法では撤去自体も容易ではないという。また、臨海工業地帯に属する大型工場の大半は、現在、操業再開準備中で休止しているところが多く、直接的な被害がなかった企業であっても、操業が通常ペースに戻るまで受注停滞は否めない状況となっている。被災した企業のうち自己資金で立て直せるところはともかく、営業復旧のために早急に資金支援が必要なところは資金調達方法が大きな問題となる。

復旧活動が進むが、未だ各所に爪跡が残っている

復旧活動が進むが、未だ各所に爪跡が残っている。

鮫地区

 鮫地区はウミネコの繁殖地として有名な蕪島や水産観光施設「マリエント」などがある。今回の大津波によってJR八戸線が通る高台近くまで浸水したことで、沿岸部にある水産加工施設、冷蔵庫、倉庫、漁業組合などが大きな被害を受けた。これら被災した漁業・水産加工業・漁業組合・船舶部品・漁網関連などは約30社と見られ、鮫地区に於ける水産関連企業だけで地区内の3割弱を占める。それに従事する住民も多いが、一般住宅では全壊や大規模半壊が多く、甚大な被害状況と言える。蕪島はトイレ・売店・休憩施設などはすべて流出。マリエントでは海水汲み上ポンプ破壊などの損害を受けた。またJRでは鮫駅から久慈駅間が不通となるなど通勤通学にも大きな影響が出た。沿岸部の水産加工工場では工場設備の浸水・損壊で従業員の自宅待機や解雇などが聞かれ、漁業では船舶破損、漁網・漁具の流出などで出漁もままならない状態が続いた。徐々に復興に向けて取組み始めているが、回復まではかなりの時間を要するものと見る。

蕪島付近のトイレは横たわったままである

蕪島付近のトイレは横たわったままである。

☆          ☆          ☆

 地震津波発生から1ヶ月以上経過し、がれきや浸水車両、汚泥などは撤去され、損壊した建物、設備の修復作業が急ピッチで進められている。事業活動を再開している企業も多いが、被害の度合いによっては再開目処がたっていない企業もある。既に震災関連の金融緩和策や支援策が開始されているが、融資申込に必要な被害額算出に至っていないところも多く聞かれる。金融対策による効果が期待される一方で、各種資材・商品の品薄状態やコスト高によるリスクが高まりつつあるなか、当面は不透明な経営環境を強いられそうだ。


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