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今さら聞けない決算書の読み方(4) ~財務分析編~

公開日付:2013.07.25


TSRメルマガでは、これまでに「貸借対照表」、「損益計算書」、
「キャッシュ・フロー計算書」の読み方のポイントについてご紹介いたしました。
しかし、決算書は全体的なバランスが重要となるため、単に勘定科目を比較
するだけでは正しくリスクを把握することはできません。

そこで今回は、「今さら聞けない決算書の読み方」シリーズの最終回として、
「財務分析」を行う上でのポイントをご紹介いたします。
「貸借対照表」編、「損益計算書」編、「キャッシュ・フロー計算書」編にて
ご紹介したポイントを、いま一度ふり返りながらご覧ください。


■収益性分析 ~損益計算書に注目~

≪売上総利益率≫  ~商品価値を表す!~
 ※計算式:【売上総利益÷売上高×100】

仕入れた商品に対し、どれだけ付加価値をつけて販売できたかを示す指標で、
主に同業他社との商品比較で利用されます。
一般にサービス業は商品への付加価値が高いことが多く、不動産業も
売上総利益率の水準は高いといえます。

逆に薄利多売のケースが多い卸売業や、建設業については、売上総利益率の水準は
低い傾向にあります。
与信管理においては、対象企業の属する業界平均と、対象企業の実数を比較して、
大幅に低い場合には注意が必要となってきます。

≪売上高経常利益率≫ ~企業の本業・副業の実力がわかる!~
 ※計算式:【経常利益÷売上高×100】

経常利益は本業及び副業の実績を示す利益で、売上高経常利益率も企業活動全般の
収益性を示す指標となります。売上高総利益率は同業他社との商品比較指標と
なりますが、売上高経常利益率については、業種を問わず比較することが可能です。

著しく売上高経常利益率の数値が低い場合には、販売数量は増加したものの販売価格は低い、
または投資での運用がよくないなどが考えられ、低い原因を確認する必要があります。

なお、一般的に業界平均値が高い業種として、不動産業、製造業などがあり、低い業種には
小売業、建設業があります。なお、全業種を平均した売上高経常利益率は1%超といわれています。
与信管理においては、業界標準値および過去数期分との比較が必要といえるでしょう。


■安全性分析 ~貸借対照表に注目!~

≪流動比率、当座比率≫ ~短期支払能力がわかる!~
 ※計算式:【流動比率=流動資産÷流動負債×100】
      【当座比率=当座資産(現金及び預金+受取手形+売掛金+有価証券)÷流動負債×100】

流動比率は、1年以内に支払期日がやってくる流動負債を、1年以内に現金化される
流動資産でどれだけ賄うことができるかを示す指標です。
全業種の標準値を比較した場合、流動比率はサービス業、不動産業では高く、卸売業、
小売業では低い傾向にあります。

当座比率についても基本的には流動比率と同じく、短期の支払能力を示す指標です。
ただ、当座資産には不良在庫などの可能性がある棚卸資産が含まれていないため、
流動比率よりも確実な支払能力を示す指標となります。

当座比率は、サービス業、建設業では高く、小売業、不動産業では低い傾向にあります。
与信管理においては、業界標準値および過去数期分との比較が必要であり、一般的に
流動比率は200%以上が理想とされています。

≪固定比率≫ ~固定資産の保有バランスがわかる!~
 ※計算式:【固定比率=固定資産÷自己資本×100】

固定比率は、流動比率と対峙する指標であり、自己資本でどれだけ固定資産を
賄えるかを示す指標です。
金額の大きい固定資産について自己資本の範囲でどれだけ賄えるかを表し、
低ければ低いほど望ましいといえます。
全業種の平均値としては200%前後ですが、固定比率は100%未満が理想といわれています。
与信管理においては、業界標準値および最低2期分の比較が必要といえます。

≪自己資本比率≫ ~企業の自力がわかる!~
 ※計算式:【自己資本比率=自己資本(純資産の部)÷総資本×100】

自己資本比率は、毎期の最終利益の蓄積を示す指標であり、対象企業の財務的な自力を測る
指標となっているため、多くの企業で利用されている指標です。
自己資本がマイナスとなっている場合は「債務超過」の状況にあり、倒産リスクは増加します。
自己資本比率の標準値が高い業界として、製造業、サービス業があり、低い業界は小売業、
不動産業があります。30%以上有していれば一定の評価が担保されると考えられます。
与信管理においては、業界標準値を上回るほど良好と考えられます。


■キャッシュ分析 ~キャッシュ・フロー計算書に注目!~

≪キャッシュフローマージン≫ ~短現金創出力がわかる!~
 ※ 計算式:【営業活動によるキャッシュ・フロー÷売上高×100】

売上に対して、どれだけ効率的にキャッシュを生み出しているかを示す指標です。
数値は、高い方が効率的な資金化が行われたことを示しているため、望ましいといえます。
一方、著しく低い場合には不良在庫の処分などを行った可能性があります。

与信管理においては、売上高営業利益率との比較を行い、相対的にキャッシュフロー
マージンが低い場合には売上高重視の経営である可能性があります。
また、債権回収能力が低いことも想定されるため、数値が低い場合には十分な注意が
必要となります。

≪インタレスト・カバレッジ・レシオ≫ ~金融費用の支払能力がわかる!~
 ※計算式:【(営業活動によるキャッシュ・フロー+支払利息・割引料)÷支払利息・割引料】

金融費用を支払う能力が、営業活動によるキャッシュ・フローベースでどの程度
あるかを示す指標であり、倍率が高ければ利息の支払に余裕があることを示し、
最低でも1.0倍以上ないと金融費用を食いつぶしていることを意味します。

与信管理においては、金利負担は業績への影響が大きいため、最低2期分の比較を行い、
大きく変動している場合には、貸借対照表上の借入金の金額も同時に確認する必要が
あります。

財務分析による経営診断は、業界・業態や企業規模の標準的な財務比率との対比を
通して行われますが、単に対象企業の財務比率を算出し、平均値と対比するだけでは
的確な診断を行うことはできません。
当期の収益が良好な企業であっても、それは偶然、追い風に恵まれたというだけの結果
かもしれません。
数期分の財務状況を確認し、特に重要とされる安全性分析の結果に注目して与信判断を
行うスタンスが、財務分析の基本となります。

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