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粉飾決算の手口(3)~キャッシュ・フロー計算書の粉飾~

公開日付:2013.07.01


キャッシュ・フロー計算書(間接法)の粉飾は、貸借対照表、損益計算書と比べて
粉飾が難しいとされています。理由としては、キャッシュ・フロー計算書の粉飾は
その目的や意志をつかみにくく、粉飾としての認識が難しい点があげられます。

しかし、消極的粉飾や各CF間の振替など、キャッシュ・フロー計算書の内容を
実際よりも良く見せようとする方法は複数存在します。
今回は、キャッシュ・フロー計算書の代表的な4つの粉飾方法とその具体的な手口を
ご紹介いたします。

≪4つの粉飾方法≫

1.一時的に行われた現金の増加

期末での早期回収などが代表例です。貸借対照表上の現預金を増やし、
営業CFもプラスに動きます。本来及び常態の財務内容と違う点で
実態を偽っているため、粉飾の一つと解釈されることもあるようです。


2.消極的粉飾

貸借対照表や損益計算書において、本来増減・計上しなければならないものを
意図的に変更・計上しない消極的粉飾では、前期との差額及び計上はゼロとなり、
キャッシュ・フロー計算書は操作しなかった金額だけ粉飾されることとなります。
たとえば、不良債権が発生したとき、本来(貸倒引当金の設定がないとして)
「貸倒損失 ― 売掛金」(費用の発生 ― 資産の減少)と仕訳けされ、
利益は減少します。

しかし、この処理を行わなかった場合、損益計算書の利益はまったく変化せず、
キャッシュ・フロー計算書も影響を受けることはありません。
損益計算書の金額はキャッシュ・フロー計算書でそのまま使用されるため、
計上すべき費用を計上しなければ(消極的粉飾)キャッシュ・フロー計算書には
反映されないからです。


3.簿外処理

簿外処理によって貸借対照表、損益計算書に計上されなかった金額も、当然ながら
キャッシュ・フロー計算書には計算されません。
たとえば、固定資産を簿外で売却し、その入金を架空売上債権の回収に利用した場合、
「現金預金 ― 売掛金」(資産の増加 ― 資産の減少)と仕訳けされ、
貸借対照表上の現金預金増とキャッシュ・フロー計算書上の売掛金の減少による
営業CFの増加が一致します。しかし、簿外処理した固定資産の売却という固定資産の
減少は貸借対照表の固定資産にも、投資CFにも反映されません。


4.各CF間の振替

営業CFはプラスが良いとされ、財務CFは通常マイナスが良いとされています。
たとえば、借入による資金調達を架空売上の発生・回収に振替えた場合、
財務CFのプラスという悪い評価は、売上の増加による収益・利益の拡大で
営業CFのプラスという良い評価に変えることができます。

≪具体的手口≫

・受取手形を期日前に売却しての入金
・債権流動化による入金
・簿外借入を売上債権の回収に充当
 ⇒グループ会社や代表者名義の借入金を、長期滞留の売上債権や架空売上の回収
  にあてる。これにより不良債権の解消と現金預金の増加が一挙に得られる。
・売上債権を担保にした簿外借入による入金
・売上債権、有価証券を簿外譲渡しての入金
・商品、固定資産の簿外売却による入金
 ⇒固定資産をグループ会社へ架空売却し資金を創出する。この資金を
  滞留売上債権の回収や架空売上の回収に転用すれば、固定資産は
  従来のまま自社の管理下におきながら、財務内容の改善ができる
・発注をキャンセルし、前渡金を簿外回収しての入金
・特許権など無形固定資産の簿外供与による入金
・出資金の簿外譲渡や簿外払い戻しによる入金
・仕入代金を代表者が支払い、現金の減少を抑える
・代表者の借入を架空売掛金の清算に使用、入金する
・親族会社の振出小切手を現金化し、入金する
・持合株式の売却益の計上
 ⇒期末近くに持ち合い株式を売却して利益を計上、翌期買い戻す方法。
  「クロス取引」といわれます
・架空増資による見せ金の入金

 キャッシュ・フロー計算書の粉飾は、投資CF、財務CFに関しては単独での
プラス、マイナスによってその良し悪しを判断することはできません。
しかし、上記の手口で営業CFをよりプラスに見せようとする点では一貫しています。
営業CFは順調な営業活動を示す、最も重要なCFとされているため、
その内容には特に注意が必要といえます。

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