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今さら聞けない決算書の読み方(3)~キャッシュ・フロー計算書編~

公開日付:2013.07.01


キャッシュ・フロー計算書は、与信判断において近年重要視されている資料の一つで、
特にリーマンショック以降、不動産業などで黒字倒産が目立ったことからも注目を集めました。
なぜなら、黒字倒産の多くの原因が、キャッシュ・フローの悪化によるものだったからです。

そこで今回は、「今さら聞けない決算書の読み方」シリーズの第3段としまして、
「キャッシュ・フロー計算書」の読み方についてご紹介いたします。
第1回目の「貸借対照表編」、第2回目の「損益計算書編」に続き、与信管理担当者が
押さえておいていただきたいポイントを営業、投資、財務の3つのキャッシュ・フローごとに
ご紹介いたします。
また、これら3つのキャッシュ・フローにおけるプラス、マイナスの組み合わせ
全8パターンの特徴についてもご紹介いたします。


≪営業活動によるキャッシュ・フロー(間接法)のチェックポイント≫

営業活動によるキャッシュ・フロー(以下、営業CF)は、本業での
キャッシュの流れを示しており、企業がキャッシュを生み出す能力です。
営業CFがマイナスとなっている場合には、投資資金を自己資本でまかなう
ことができず、財務面に関しても借入の返済原資がない厳しい状況を示しています。

営業CFがプラスの場合は、本業から生み出したキャッシュで投資を実施し、
借入金の返済原資も確保できるため、営業CFはプラスであることが望ましいといえます。
与信管理上では、営業CFがマイナスの場合、内容の吟味が重要といえるでしょう。

≪投資活動によるキャッシュ・フロー計算書のチェックポイント≫

投資活動によるキャッシュ・フロー(以下、投資CF)は、固定資産や投資有価証券
といった、投資に関連する分野の購入・売却によって生じたキャッシュの流れです。
投資CFがマイナスの場合は、投資を実施して資金が支出されるケースが多いといえます。
企業にとっては、営業CFから生み出された金額の範囲内での計上が望ましいでしょう。

仮に営業CFで得た以上の金額で投資を実施すると、外部からの資金調達を余儀なくされます。
投資CFがプラスの場合は、投資した資産を売却してキャッシュを捻出している
ケースが多いといえます。その場合、営業CFがマイナスであれば、資金繰りが厳しい
という背景も想定できます。
従って、総合的には営業CFをベースに負担とならない投資の適正額を設定し、
その範囲内で毎期継続的に投資を行う形が望ましいといえます。

≪財務活動によるキャッシュ・フローのチェックポイント≫

財務活動によるキャッシュ・フロー(以下、財務CF)は、金融機関からの資金調達・
返済および株式発行による資金調達・配当金の支払、社債発行による資金調達・償還などの
財務状況を示すキャッシュの流れです。
財務CFがマイナスの場合には、金融機関からの借入金の返済、社債の償還が進んでいる
ケースが多いといえます。逆に財務CFがプラスの場合には、金融機関からの借入金や
社債発行で資金を調達しているケースが多いといえます。

与信管理において、財務CFがマイナスの場合には、営業CFの範囲を超えていないかを
確認する必要があり、プラスの場合には資金需要が発生した理由を確認する必要があります。

≪取引先はどのタイプ? キャッシュ・フロー計算書の全8パターン!≫

上記3つのチェックポイントを踏まえると、営業CF、投資CF、財務CFの3つが
プラス・マイナスのどのような値を示せばよいかは、以下のようにまとめられます。

■優良企業型【営業CF+ 投資CF- 財務CF-】 
キャッシュ・フローとしての理想系です。本業で十分なキャッシュを生み出し、
その分で投資を行い、借入金の返済もできているパターンで、与信管理においては、
特に問題のないタイプです。

■成長企業型【営業CF+ 投資CF- 財務CF+】
ベンチャー企業などが該当します。本業でキャッシュを生み出し、さらに借入金も導入して、
積極的な投資を行うパターンで、与信管理においては、投資効果を当面見守っていくことが
重要です。

■事業転換型【営業CF+ 投資CF+ 財務CF+】
事業の転換を図っている企業などが該当します。本業は好調であるが、事業の転換を
図るため借入金を導入し、保有資産を売却しているパターンが多いタイプです。
与信管理においては、転換する理由や事業内容を確認する必要があります。

■事業検討型【営業CF- 投資CF- 財務CF-】
過去の実績は有しているものの主力事業が低調な企業が該当します。本業でキャッシュが
生み出せず、過去に得たキャッシュで投資を実施し、借入金の返済も行うパターンです。
与信管理においては、主力事業に代替するキャッシュを生み出す事業はあるかどうかを
見極める必要があります。

■再建型【営業CF- 投資CF- 財務CF+】
再建途上の企業に多くみられます。本業でキャッシュは生み出せていないが、借入金を
導入し、投資を実施しているパターンで、与信管理においては、再建の効果が出るまでの
業績、資金繰り状況をきっちり確認する必要があります。

■ダウンサイジング型【営業CF+ 投資CF+ 財務CF-】
不採算事業を抱え、事業縮小を図ろうとする企業などです。本業では多くのキャッシュを
生み出せていないと想定され、保有資産を売却して借入金の返済を重視したパターンです。
与信管理においては、事業縮小を図った後の効果を見極める必要があります。

■やや注意型【営業CF- 投資CF+ 財務CF-】
金融機関からの支援が得られなかった可能性があります。本業でキャッシュが生み出せず、
保有資産を売却して、借入金の返済に充当するパターンです。
与信管理においては、金融機関からの融資を含めた関係を確認することが重要です。

■要注意型【営業CF- 投資CF+ 財務CF+】
最も注意を要すべき企業です。本業でキャッシュが生み出せないため、保有資産を売却し、
借入金を導入することで、辛うじて資金繰りをつないでいるパターンといえます。
与信管理においては、直近の業績を確認し、当面の資金繰りについて把握する必要があります。


与信管理において最も判断が難しいのは「黒字倒産」です。たとえ業績が良かったとしても、
成約から入金までタイムラグがある場合、繋ぎ資金が不足して破綻に陥ってしまいます。
このような会社を見抜くために、まず、損益計算書、貸借対照表を確認した後、忘れずに
キャッシュ・フロー計算書も確認しましょう。
営業CF、投資CF、財務CFのバランスをそれぞれ吟味し、総合的に対象企業を判断することが
重要です。

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