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粉飾決算の手口(2)~損益計算書の粉飾~

公開日付:2013.05.22


損益計算書の粉飾は、売上高や利益を大きく、良くみせることです。
多くの目的が利益を増加すること、赤字を隠蔽することにあるため、
「粉飾決算=利益操作」としているケースもあります。

しかし、投資または成長段階にあたるベンチャー企業では、当初の赤字は
常識であって、財務内容の脆弱さもスルーされ売上の増加のみに粉飾が
集中します。このことからも粉飾決算が利益操作のみでないと言えます。
今回は、「粉飾決算の手口」シリーズの2回目として損益計算書の
粉飾の手口について解説いたします。


【売上の増加】

・売上数字の水増し
単純に売上高のみを書き換えて増やす方法もありますが、売上債権との
バランスが崩れたり、利益率が異常な数値になるため単独で行うことは
難しいといえます。
ただ、経理処理において売上の水増しは非常に簡単です。

・不正販売による売上
値引き販売や押し込み販売、安値販売による売上増や、子会社
(グループ会社)への高値販売、仲間取引・循環取引など正規の営業活動や
努力を伴わない取引による売上です。取引伝票を作成し、実際に入金処理も
行うため、簡単には発覚しません。

・架空売上 ・委託販売で、売れてもいないのに関わらず売上を計上する
・来期売上の繰り入れ ・売上発生時点の早期化
・前受金や仮受金・預り金、固定資産や有価証券の売却金を売上で計上
・借入金や受取利息・受取賃貸料・受取配当金を売上で計上


【売上原価の減少】

(1)当期仕入高/製造原価の減少
・仕入を計上しない(隠蔽)。簿外処理にする。
・仕入価格と数量を少なくし、仕入高を過小計上する。
・仕入値引・仕入割戻を過大計上。
・子会社(グループ会社)からの安値仕入れ。
・製造原価の人件費を販売費及び一般管理費で計上する。
・外注費を計上しない。過小計上する。
・製造原価の計算において材料費・労務費・経費の実績価格や配賦率を低くする。

(2)期末商品棚卸高/期末製品棚卸高の増加
棚卸資産は金額的に大きく、点数も多いため粉飾の対象になりやすい
科目です。また、その方法においても、売上を粉飾する場合は売掛金の
操作や売上伝票の作成など手間を必要とするのに対して、棚卸資産の粉飾は
勘定科目内での水増しや評価ででき、比較的容易な科目として使用されています。
(例:架空在庫の計上、不良在庫の未償却、仕掛品を高めに計上する など)

(3)売上原価の相対的減少
売上増加の粉飾が著しい場合、売上原価とのバランスが崩れることによって、
粉飾が発覚しやすくなることから、カモフラージュとして売上原価も増やす
方法です。利益への反映は薄くなりますが、売上増の目的が優先する場合には
意味があり、絶対額は増加しても相対的に減少しておれば、利益の増加にも
効果があります。


【販売費及び一般管理費の減少】

・計上場所、科目による操作
収益性の分析では営業利益と経常利益が非常に重要なことに起因するため、
販売費および一般管理費を営業外費用または特別損失で計上することが
あります。これによって営業利益や経常利益を大きく見せようとします。

【その他収益の増加】

・受取利息の増加
不良債権に対して追加融資をし、支払利息を支払わせて健全債権を装う
ものです。前受利息(負債)を受取利息として計上します。

・持合株式の売却益の計上
期末近くに持ち合い株式を売却して利益を計上、翌期買い戻すものです。
「クロス取引」ともいわれます。上場企業では監査が厳しくなり激減
しましたが、売買目的の有価証券との区別がしにくく、まだ有効な方法と
されています。

【その他費用の減少】

・支払利息の減少
借入金を代表者や子会社に移すなど、簿外処理で利息を支払わないものです。
支払利息を他の勘定に振り分け、簿外処理すること。また未払利息を計上
しないことや、支払利息を資産や売上原価に計上することもあります。


このように、売上を大きく、また原価や費用を小さくすることが損益計算書
における粉飾の特徴といえます。そして、その多くの勘定科目は貸借対照表
と連動しています。もし、損益計算書の粉飾を行っている会社があれば、
その会社は貸借対照表の粉飾もあわせて行っている可能性が非常に高いと
いえるでしょう。

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