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調査スタッフの仕事

人と出会う充実感、顧客に役立つ達成感

企業の信用調査を担当する私の1日は、日経朝刊のチェックから始まります。とはいっても、会社で読む余裕はなく、たいてい通勤電車の中ですが、調査先でその日の記事が話題になるケースが多いし、もちろん、マクロ経済や企業の動向を知ることは調査レポートを書く上でも大切です。学生時代は理解できなかった記事も、いまはけっこう楽しく読んでいます。

 
自分で計画し、自分で行動する日々
出社したら、その日の予定を再確認し、まず自分が担当する調査先のリストとスケジュール表をにらみながら、取材訪問のアポイントどりにかかります。上司の指示ではなく、定められた調査レポートの納期をクリアできるよう、自分で行動計画を立てて、きちんと実行していくのです。
電話したその日にいきなり相手から訪問OKが出るとはなかなかいきませんから、取材先の都合に合わせながら、どう効率よくスケジュール表を埋めていくかが勝負ですが、実は、このアポの電話から取材活動はスタートしているのです。
多忙な相手に時間を割いていただくわけですから、ここで悪い印象を持たれたら、快い協力は期待できません。言葉遣いに注意し、メリハリのある応対を心がけています。たいてい出社から1時間内には取材に飛び出すことになりますね。もちろん、調査先から信頼していただくためには身だしなみも大事です。たとえ二日酔いでも、調査先でくたびれた顔は見せられません。

調査スタッフのマストアイテム「地図」と「手帳」

手帳にはいざというときに役立つような、専門的な内容が記載されています。

 
 
調査先は“十社十色”、取材は驚きの連続だ
調査先は、業種も、企業規模も、実にさまざまです。
当たり前ですが、同じ業種、同じような規模でも、戦前の創業から新設ホヤホヤまで、その歴史は多種多彩ですし、経営内容も、急成長会社から慢性赤字の“ボロボロ”会社まで大きく異なります。こんな時代ですから、1年前とは経営状況ががらっと変わっているケースも、そんなに珍しくありません。人間が一人一人違う顔をもつように、企業も “十社十色”ですから、すこしオーバーにいうと、調査活動は、新鮮な驚きの連続です。
そんな日々の体験を積み重ねていくことで、自然に個々の企業を「見る目」というか、信用度を判断するスキルが磨かれているのだと思います。いいかえると、私たちは、さまざまな会社、さまざまな経営者たちとの出会いによって、プロの調査員として成長しているわけです。いわば、取材先に鍛えあげていただいているというべきかもしれませんね。
ときには“いかがわしい”を超えて“犯罪的”ともいうべきビジネスを行っている印象の会社を取材するときもあります。そんな経済活動の暗部を直接に目にするとき、自分の視界がひろがり、情報のアンテナが鋭くなって、調査員としてレベルアップできているという手応えを感じます。その意味では、優良企業よりも、むしろ“アブナイ会社”との出会いの方がすごく刺激的だし、学習効果も大きいように思います。
 
問われるのはコミュニケーション力
信用調査で大切なのは、いかに新鮮な情報を聞き出すかです。
アブナイ会社を相手にするよりも辛いのは、なにを聞いても手応えのある回答を引き出せないときですね。
最初はまったく話してくれない人からも、やりとりしているうちにいろいろな情報を引き出していく「コミュニケーション力」がなくては、と痛感させられるときです。その点、弊社が発行している日刊の「TSR情報」など、いろいろな媒体にできるだけアクセスして情報−話題の在庫を十分にしておく情報武装が大切です。ビジネスであれ、趣味であれ、相手の関心を引きだして盛り上げてしまえば、自然に必要な情報は入手できるからです。
調査に応対していただく相手は、自分の父親よりも上の年代の人も多いのですが、ときには、さまざまな会社や経営者、業界の情報に通じているでしょうからと、経営上のアドバイスを求められることもあります。みなさん、さまざまな人生経験を重ねられていますし、たいていは経営者ですから、たいへんなご苦労をされた話とか、感銘を受けることも多いですね。そんな出会いの連続が、この仕事の醍醐味の一つです。
 
日本のビジネスを支えるという実感
調査を終えて会社に帰るのは、だいたい4時過ぎですね。ランチは外出先が多いですから、おいしい店を見つけるのも楽しみの一つですが、帰社すると、レポート作成の仕事が待っています。
すべての調査先から十分な話が聞けるとは限りません。中には取材拒否ということもあります。その場合は、さまざまな情報源に当たって、必要な情報を収集します。そうして満足できるレポートができたときは達成感がありますね。もちろん、自分が書いたレポートが、実際の企業活動で生きるケースも多々あります。「お陰様で売掛債権の焦げ付き(貸し倒れ)を未然に防げたよ」と感謝されたときは「この仕事に就いてよかった」と思えます。大げさかもしれませんが、日本のビジネスを支えているという実感ですね。
信用調査に必要なスキルはいろいろです。調査先はさまざまな業種に及びますから、浅くても幅広い知識が求められます。基本的な財務や法律の知識も不可欠ですが、業務をこなすための知識は自然に身に付きます。私の場合、仕事をしていくうちに度胸と忍耐力もついたように思いますが、一番の基本は体力です。とにかく「足で稼ぐ」仕事ですから、健康でないと話になりません。
とにかく調査の仕事は毎日が目まぐるしく、刺激的で、アッという間に1日が過ぎてしまいます。
最後に一言。私の場合、まだ経験が浅く、レポートを書くのにも時間がかかります。残業になることも多くて、アフター5はそんなに遊べる状況ではありませんが、なにしろウチの本社は神田と東京の境目ですから、立地条件は最悪! ですよね。当然、金曜日など、会社の友人と連れだって飲みに行くことも「たまに」あります。呑みニュケーション、万歳。
 

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